I Don't Like Mondays.が語る、洋楽マナーを取り入れた新しいJ-POP像

ーここ最近取材をしていると、コロナ禍以降、J-POPを意識的に取り入れているアーティストが増えている印象がすごくあります。そこにはどういう理由があるんでしょう。

YU:言葉の重要度が増したからだと思うんです。今までライブやフェスでみんなで騒ぐ音楽、共有する音楽が大半を占めていたのが、コロナで個人的な音楽が多くなっていった。いい意味で言うと、心に染み渡りやすい環境が整ったということだなと思って。その中でみんなで騒ぐ曲用の言葉だと、せっかく環境が整っているのに機会損失だなという気持ちになったんです。これを機に心をえぐっていくような言葉を詰めていきたい。同じように考えるミュージシャンの方が自然に増えたんじゃないかと思いますね。

ー僕も洋楽を中心に聴いてきたんですけど、あまり言葉の意味を考えず音楽を聴く習慣があって。言葉が重要視される環境というのは理解しつつ、そうした環境の変化にギャップを感じたりはしませんか?

SHUKI:ギャップもあったし、もともと歌詞で感動するいう耳になっていなくて。もちろん感動することはあるし気持ちも分かってはいたんですけど、ミュージシャンという仕事をしているからには、より感動する歌詞を提供していかなきゃと思う中で、意識して歌詞を聴くようになって、どんどん慣れていきました。

YU:音楽には言葉と旋律があって、言葉を旋律の方に馴染ませちゃうともったいないなと思ったんです。言葉のおもしろさ、万葉集とか和歌が文化として根付いている土地だからこそ、国民性的にも歌詞を重視しているんだなとあらためて思いました。僕らも日本に住んでいるし、日本で音楽をやらせてもらっているので、その土地の人の人生に刻んでいけるような音楽を届けたい思います。

CHOJI:洋楽に関して言うと、EDMがちょうど僕らの世代でキャッチーなメロディが多かったんです。今はパワーのあるメロディより、静かに聴くというかソフトなイメージの音楽がどんどん増えてきていますよね。そういう流れの変化も、世の中的にJ-POPを聴く機会が増えた要因なのかなと思います。

ー歌っている内容に関してはどのようなことを意識していらっしゃるんでしょう。

SHUKI:昔の芸能・音楽業界は偶像崇拝的に、物語の裏側を隠して綺麗なところだけを出していた気がしていて。今はSNSで裏側が隠せないじゃないですか。みんな人間のリアルさを求めている感覚がある。だからこそ内面を映し出すとなると、サウンドじゃなくてその人が発する言葉とか、その人が言うからこそ同じ言葉でも違って聴こえるとか、歌詞の重みが増しているのかなと思うんです。

CHOJI:そこは時代性もあると思います。人間のリアルさは見せたいから見せられるものでもないし。だからアメコミもダークヒーローが増えたり、主人公だからって綺麗事ばかり言わない方が刺さってるのかなって。

YU:『少年ジャンプ』もそうだよね。20年前のジャンプの主人公と今の主人公では全然性格が違う。社会の流れやコロナの影響もあると思うんです。僕らもその社会の一員なのでそういうマインドに少しずつなっていますね。特に歌詞で言うと、クリエイティブと自分が普段思っていることが近くなったんです。今まではアイドラとして曲を書いていたので、初期の頃は僕が言いたいか言いたくないかよりも、サウンドをどう聴かせたら心地よく聴こえるだろうと思ってパーソナルな部分を出そうとも思っていなかった。そういう意味では自分の言葉を書いていくスタイルにフェードインしていった感じですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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