Da-iCEが語る音楽ルーツ、コンセプトEPで白黒つけたかったものとは?

-その「Kartell」含め『REVERSi』は音楽性の振り幅が広い作品になっているので、ふたりの音楽的ルーツを探ってみたいなと思いまして。まず大輝さんはどんな音楽を聴きながら育ったんでしょう?

工藤:僕は結構広く聴いていたタイプだと思います。家族が音楽好きだったこともあって、小学生ぐらいのときから、小遣いを渡されてTSUTAYAさん的なところでヒットチャートTOP20のシングルをすべて借りてきて、それを録音するという役割だったんですよ。その中に僕の好き嫌いはあったんですけど、当時はカセットテープに録音する時代だったから早送りできないじゃないですか。だから強制的にその20曲すべてをフルで聴かなきゃいけなかったんですよね。途中で裏面にひっくり返さなきゃいけないから、片面にどこまで入れるかも自分で計算しなきゃいけないし(笑)。でも、そのおかげで好き嫌い関係なくいろんな曲の知識は入ってきていたし、広くいろんなジャンルを聴けたことが結果的に今に繋がっているのかなと。


工藤大輝(Photo by Jumpei Yamada)

-全ジャンルのスタンダードをすべて聴いていたわけですもんね。

工藤:そうなんです。その業務から外れて(笑)ダンスを始めたあたりからヒップホップやR&Bに傾倒していって、海外の音楽も掘るようになっていって、同時に日本語ラップも聴くようになるんですけど、それが1990年代末から2000年代の始まりあたりだったので、その頃にデビューした宇多田ヒカルさんからもすごく影響を受けましたね。いちばん影響を受けていると言っても過言じゃないぐらい。海外のR&Bを取り込んだJ-POPがいちばん好きだったので、そこを軸にいろいろ聴いていった記憶があります。

-そこはDa-iCEの音楽性にも反映されていますよね。

工藤:ただ、僕が好きだったのは売れている曲じゃなくて、チャート的に落ち込んでいる時期の曲ばっかりで。そのときから「僕が好きな曲はヒットしやすいタイプの曲ではない」と思ってはいました。そこは今に繋がっていて、僕はDa-iCEの曲を作るときにカウンター狙いになることが多いんですけど、自然とカウンターパンチになる曲を作ることに長けているからなんですよね。近年はシティポップがブームになったり、カウンターカルチャーが流行ってきていますけど、僕的にはすごく追い風になっているなと感じています。

Rolling Stone Japan 編集部

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