ブリング・ミー・ザ・ホライズンが語る、依存症からの回復、次世代エモ、セルフケアの大切さ

「ゆったり構えて、『俺たちは成功した』と堂々と言えるようになった」

今回のEPが必要なだけたっぷり時間をかけて制作されることはジョーダンも――少なくとも若干しぶしぶそうではあるが――覚悟を決めている。本来ならすぐに完成する予定だったが、現実的には、ブリング・ミー・ザ・ホライズンが自らに課す創意と高い制作基準は決して妥協を許さない。「僕らはロックバンドにしては求める基準がすごく高いと思うよ」とジョーダンも平然と言う。「どうでもいいような曲を交えて、『これでよし』と作品を出すバンドは多い。僕は毎回、『俺たちの作品は今年ロック界で最高のアルバムになる』って思えるようにしたいんだ」

とは言えども、夏前には完成する予定だ。バンドにとっては記念すべき瞬間になるだろう。ちょうど2022年8月にはレディング&リーズフェスティバルで、アークティック・モンキーズらと並んでのヘッドライナーを務めることになっている。フェスティバルの編成担当ジョン・マッキルドウィ氏は「昔からブリング・ミーはレディング&リーズのヘッドライナー向きだった。あとはタイミングの問題だった」と言う。マッキルドウィ氏は2021年アリーナツアーの際にロンドンO2での公演を見て、彼らこそヘッドライナーだと感じた。「今のロックを代表するようなショウだった。それでいてジャンルの枠を壊すようなところもあった」。プロモーション会社Festival Republic社のマーケティングディレクター、メルヴィン・ベン氏も同意見だ。彼もまた同じ公演を目にしている。「ブリング・ミー・ザ・ホライズンを引きずり出して、フェスティバルのヘッドライナーに据えるには一筋縄ではいかない。彼らの意思と、こちらの覚悟次第だね」

レディング近郊のニューベリーで育ったジョーダンにとって、レディング&リーズフェスティバルは10代からの夢だった。一方オリヴァーは、モッシュできる音楽を作る以外のことしか頭になかったという。だが今回を皮切りに、2023年以降も他のUKフェスティバルでヘッドライナーを務めることになるだろう。そうした流れは、オリヴァーが見出したばかりの自身や自愛ともマッチする。人は内面が変わると、声のトーンや表情にもそれが現れるものだ。本人相手ではなく、彼らの遠い親戚と話をしているような印象を受ける。そこが2010年代にサイクスと取材したときと違う点だ。LAでの彼は笑顔を――正真正銘の笑顔を頻繁にのぞかせ、まるで生まれ変わったかのようだ。

10年来に誕生したヘッドライナー級バンドのフロントマンだと自信をもって言えるようになったことで、オリヴァーも今まで感じたことのない安心感と安堵感を覚えている。この18年間、葛藤やダメだしに満ちた世界でもまれた末、彼はようやく安心して王座に腰を据えることができたのだ。「ゆったり構えて、『俺たちは成功した』と堂々と言えるようになった。今まではそんな風には絶対に思えなかった」と本人も言う。「ずっとあがいたり、おだてたり、もがきながら、なんとか生き残ろうとしていた。常に戦っているような感じだった。結成当初から俺たちは憎まれっ子のお騒がせバンドだったからね。いつもはみ出し者というか、厄介者のような気分だった。でも今は大丈夫。俺たちはビッグなバンドなんだ」

from Rolling Stone UK

<INFORMATION>


Bring Me The Horizon | ブリング・ミー・ザ・ホライズン
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https://sonymusicjapan.lnk.to/BMTH_DiE4URS

Translated by Akiko Kato

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