ミッキー吉野70歳記念アルバムをプロデューサー・亀田誠治と語る



田家:アルバムの5曲目です。「銀河鉄道999 feat. MIYAVI」。「Take a train ride」があって、その次に「銀河鉄道999」が来ている、これは楽しい洒落な感じがあります(笑)。

亀田:これは我ながらやったと思いましたね。自然に気持ちのいい曲順を考えていったらこうなったんですけど、そこにもミラクルが起きました。曲順を作っているところにもミューズ、音楽の神様に応援されている感じはずっとありました。

田家:「銀河鉄道999」に関して亀田さんはKADOKAWAから出た45周年公式ブックの中で、「僕が死ぬときにかけてほしい曲です」と話をされていました。

亀田:大好きで、恥ずかしい話なんですけど、僕のお粗末な歌で、「さあ行くんだ~その顔をあげて~♪」って歌うと、涙が出るんですよ(笑)。僕の体とこの曲はどういう仕組みになっているんだろう?と思うんですけど、とにかく好きで好きで仕方がない。何十年もかけて様々な場面でオリジナルが使われているんです。

田家:あーたしかに!

亀田:「銀河鉄道999」が持っている楽曲としての生い立ち、星の下に生まれた人々に、多幸感を与えるために生まれてきた楽曲なんじゃないかなと思います。

田家:あれほどキャッチーなオルガンソロは聴いたことがないとお話をされていました。

亀田:今回はそこを1番重要視しまして、MIYAVIくんともリモートで作っているんですけども、1番はじめに送ったのはオルガンソロの8小節のパート。「MIYAVI流に好きにしていいから、オルガンソロだけは活かしてほしい」とお願いをしました。MIYAVIくんから返ってきたデモを聴いたら、こんなに素晴らしいカバーは聴いたことがないと思って、僕の中でも一発OKでしたね。ミッキーさんがデモを聴いたら居ても立っても居られなくなっちゃって、いろいろなパートがあるんだけど、「オルガンソロまで我慢するから、その後もオルガンを弾かせてほしい」って今度はミッキーさんが嘆願してこの曲が完成していったんです。オリジナルから省いてはダメな部分と絶妙なバランスが必要だなと。この曲は僕も思い入れが強くて、信頼できるアーティスト、そのアーティストの感性も信頼できる人とやりたいなと思ったときに、MIYAVIくんの顔が思い浮かんだんですよ。ちなみにアレンジもMIYAVIくんなんです。

田家:原曲よりちょっと長くて、リスペクトパートのようなものが最後にありますね。

亀田:MIYAVIくんが2個目かのデモで「エンディングはこういうのどうですか」っていうのをつけてくれて、みんなでハンドクラップをしているような景色が浮かびました。こんなにピースフルな曲はないから、MIYAVIくんもこの曲に対してピースフルとか多幸感みたいなものを感じてくれているんだなと思って、そういうパートも追加したんです。

田家:ここまで5曲目ということで、アナログ盤で言うとA面が終わる感じですね。来週またお聞きするんですけど、ここまでお話をされて前半こんな感じだったんですよというのがもしありましたら。

亀田:今回田家さんと一緒にお話をさせていただいていて、この楽曲たちをアナログ盤のようにA面、B面と分けてイメージしたことが実はなかったんです。なので、こうやってA面、B面みたいな形で区切ってもいい曲ばかりだなあ。

田家:上手く区切れているなと思って聴いていました。

亀田:あとはやっぱりミッキー吉野さんへの愛が溢れている、ゴダイゴへの愛が溢れている。フィーチャリングアーティストが本気で取り組んでくれているのが伝わってくる。その場だけ、ちょっと歌いに来てよとかそういったこともなく、しかもコロナ禍という難しい状況の中、ほとんどがデータ交換などリモートで進めていくことがかえって深みを作っていったと思うんですよね。パッとスタジオでその日だけで終わるのではなくて、何日も往復書簡しなければならないので。そういった意味で「The Long And Winding Road」のまだ半分? って思うと、ここから先どこまでいくんだみたいな、そんな気がします。

田家:これだけ有名な曲を、原曲を損ねずにフィーチャリングしたアーティストも自分の色を出しながら、新たな魅力を加えていくお手本のような曲になっているのではないかと思いました。来週もよろしくお願いします。後半楽しみにしています。ありがとうございました!

亀田:ありがとうございました!


アルバム『Keep On Kickin’ It』ジャケット写真

Rolling Stone Japan 編集部

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