moonriders11年振りアルバムを鈴木慶一、佐藤優介、澤部渡とともに語る



田家:こういう始まりのアルバムはmoonridersでなければという感じがありますね。

鈴木:これを1曲目に持ってくるには勇気はいりましたよ。

田家:あ、やっぱりいりましたか。この深淵なピアノは佐藤さんなわけでしょ。

鈴木:でもこれピアノ2つ入っているよね。

佐藤:元のデモにも鈴木博文さんがご自宅の湾岸スタジオで演奏されたピアノが入っていて。

鈴木:4音しか使っていないでしょ?

佐藤:そうですね。繰り返しで。

鈴木:それに優介くんが、ピアノをダビングして。繰り返しと、それから逆回転。ビートルズが使い出した頃、いわゆる「Revolver」とかその辺のね。なんか鼻にツーーンとくるんだよね(笑)。あと、「Rain」のボーカルがそうだ! 鼻にツーーンと。あれがなんか心地良いんですよ。

田家:ボーカルは、慶一さん、武川さん、良明さん、博文さん、夏秋さん。岡田さんを除く全員。

鈴木:そうですね。この声の録り方は実は特殊で、鈴木博文が作ってきたピアノと詩を読んでるようなものがあって。読んでいるのか歌っているのかわからない中間ですね(笑)。それを聞きながら、5人が同時にこの詩をまた読むんですよ。その時に他人の声が聞こえないようにしようと。他人の声が聞こえちゃうとタイミングを考えちゃう。でも、これはエンジニアにとっては大変なんですよ。5人分のキュー・ボックスというヘッドホン用のコントローラーに他の人の声を送り込まないようにするんだから(笑)。で、白井良明はピアノの中にマイクを置いてくれって言って。それでピアノの中にマイクを置いて、ピアノに頭を突っ込んで、それからペダルを踏むと少しピアノが響くんですよ、ホワーーって。なのでそれを使いながら。

佐藤:へーじゃあもう同時にみんなで?

鈴木:そう、同時でね。それで聞いてみるとてんでバラバラで(笑)。でももう一回やるわけにはいかない。一回目の面白さ。一回聞いてしまったから、今度は合わせようという気が出てきてしまうのでこれがオッケーに。

田家:それは、どなたかがやろうと言われたんですか、それともみんなでそういう話になったんですか?

鈴木:あれは私が言ったのかなぁ。よく覚えてないけど。

田家:そういった始まりのアルバムでありますが、さてこの後どうなっていくでしょうか。

Rolling Stone Japan 編集部

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