moonriders11年振りアルバムを鈴木慶一、佐藤優介、澤部渡とともに語る



田家:4曲目です。「駄々こね桜、覚醒」。このタイトル、いいですね(笑)。どういうイメージで、このタイトルが出てきたんでしょう?

鈴木:この歌詞を見て、色々な部分でちょっと引っかかるところがあって、というかキーワードがたくさんあるなと思って。(歌詞を見て)朝露(あさか)って読めるでしょ? これ朝霞基地かなぁとか、色々な妄想を働かして。それで、見張らないでね、とかウヨウヨ、とかね。そうこうしているうちに、「アプレゲール躑躅」って言葉が出てきて。

田家:“つつじ”。これ辞書引きましたもの(笑)。

鈴木:これ最初ね、アピール躑躅だったの。アピール躑躅もいいけど、もっと変な名前がいいなと思って。

田家:戦後っぽく。

鈴木:そうそう! いわゆるカストリ雑誌みたいな。それで検索していたら、アプレゲールが出てきて、アプレゲールなんて久しぶりに見る言葉だなぁと思って(笑)。アプレゲールの意味はチャラチャラ反逆してるってことでしょ? あと、最後が駄々こね桜だ、で終わってたのよ。朝霞基地があるなら、この“桜”も桜田門という意味も出るなと思い付いてね。

佐藤:はぁ~~。

鈴木:こう言われると今わかるというね。そういうことをつい考えちゃうんですよ。

田家:で、取り締まるとか、取り締まらないっていうのも。

鈴木:そうそう! そういうのも後からまた足されていく訳ですよ。“桜田門”が浮かんだ瞬間に、じゃあ取り締まらないでとかにした方が良いんじゃないかってね。

田家:てことは覚醒っていう言葉も何か違う意味がありそうですね(笑)。

鈴木:いやぁそれはありませんよ(笑)。初めて言われた。ネタに使わせてもらうね(笑)。

田家:この曲では岡田さんは演奏で参加して、歌では加わってませんが、ボーカル、コーラスは岡田さん以外の全員でおやりになって。

鈴木:全員ですね。私で始まって、色々な人になっていくんだよね。それで、このギターのリフが印象的なんで、多分選曲会議で引っかかったんじゃないですか。

田家 :インパクトありますものね。歌詞カードでは、「塩分」が、“塩”ではなくて演出の“演”、鉄分の鉄が哲学の“哲”になっているのは、誤植ではないのですよね?

鈴木:いや私も誤植だと思って直そうと思ったんですけど違うみたいです。まぁいわゆる漢字を誤変換することによって、ダブルミーニングにするってことです。

田家:曲出しっていうのは、皆さん一曲ずつ持ってくる訳ではないのでしょ?

鈴木:そうそう。2020年に始めた頃は、1分くらいでいいよと、長いと聴くの面倒くさいから(笑)。それでライブがあったり、このコロナの状況があったりで、一旦ちょっとやめてしまって、翌年の2021年になって集めるようになるんですよ。

田家 :最終的には多数決なんですか?

鈴木:まぁそういう時もありました。で、今度のアルバムは、決まりそうもないということで、外部のオタクの二人に頼んだんですよ。" Geek High Quality " といって「GHQ」と読んでますけどね(笑)。「オタク高品質」。まぁ石原さんていう元NHKの人なんですけど、その人はmoonridersのコピーバンドやってますから。

田家:そうなんですか!有名な人でしょ?

鈴木:うん。でか~い年末の番組でやってましたよ。

田家:名前は知ってます(笑)。

鈴木:で、もう一人は、90年代のmoonridersがファンハウスだった時代のディレクターだった松本さんっていう方。この二人のオタクに選んでもらったということですね。

田家:なるほど、それも集団性ということですね。

鈴木:そうです。ま、人の意見を聞くようになっちゃたのよ。そこが良いとこです(笑)。

田家:年取ったことが良いとこでもあると(笑)。えーアルバム「It’s the moooonriders」の四曲目、「駄々こね桜、覚醒」。お聴き頂きました。

Rolling Stone Japan 編集部

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