吉田拓郎の前例のない音楽人生、レコード会社社長から“いちアーティスト”に戻った30代

拓郎さんは、フォーライフレコードの社長を80年代に入って交代、1アーティストに戻りました。そういう二足のわらじを履いてたときの心境が冒頭でお送りした「流星」でもあったんでしょうね。その後にアーティストに戻って、『王様達のハイキング』というツアーを行った。ゴージャスなツアーでしたね。中東風なメイクと衣装、ゴスペルのような女性コーラスが入って、当時誰よりも黒っぽいライブをメジャーシーンでやっていた。レゲエやリズムアンドブルースという音楽が借り物じゃなく、日本語のロックとして定着していく。そんな過程のツアーでもありました。その中から広島弁の曲をお聴きいただこうと思います。アレンジは広島二人組ってクレジットになっていたんですが、これは 拓郎さんと青山徹さん。「唇をかみしめて」。アルバムは、『王様達のハイキング IN BUDOKAN』です。



1982年11月発売のライブアルバム『王様達のハイキング IN BUDOKAN』から「唇をかみしめて」。拓郎さんが切り拓いた、それまで、あまり人がやったことのない歌の作り方をした中に「字あまりソング」というのがありますけど、方言を、こんなふうに堂々と、これだけのスケールでロックにした。リズムアンドブルースにした。これも拓郎さんならではだったと思いますね。この曲は、広島の後輩の奥田民生さんとか、中島みゆきさんもツアーでカバーしてます。広島弁ってロックなんだなと思わせてくれた、そんな1曲でもありました。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE