プロデューサー瀬尾一三と紐解く、中島みゆき44枚目のオリジナルアルバム

島より / 中島みゆき

田家:アルバムの2曲目「島より」です。2021年に工藤静香さんに書いた曲で、ラストツアー以降の曲ってことですね。これ工藤さんに書いたときも瀬尾さん。

瀬尾:そうです。工藤さんヴァージョンも僕がやりました。

田家:2021年頃、こういうアルバムとして出すみたいな話もあったんですか。

瀬尾:その時は具体的にアルバムを作るって話はなかったですね。コロナ過にスタジオで集合してミュージシャンスタッフがいるところに中島さんを連れてくるのがまだだなと思っていたので、もうちょっと待とうかなっていうのがあったんですけど。

田家:工藤さんのレコーディングのときはみゆきさんいらっしゃっていたんですか?

瀬尾:全然。こちらだけでやりました。

田家:工藤さんの曲アレンジされたときはどんなイメージだった?

瀬尾:工藤さんのときに中島さんが僕に言ったのは、どこか東南アジアの方の島にしてほしいってことで。だから間奏でちょっとガムラン的なものとかを少し匂わせたりとかしてたんですけど、今度はもうちょっと中国に近い方がいいって言って。ベトナムの沖とかマレーシアの沖?みたいな。どっちにしても東南アジアなんですけどでも、工藤さんの島ではない島にしてくれって言われたので、苦肉の策で胡弓を入れました(笑)。

田家:島というのが何か関係あったんですか?

瀬尾:それはわからないです。一緒に仕事し始めた88年ぐらいに質問して大恥かいたことがあるので(笑)。それからあまり質問はしないように、全て受け入れるという形でやっているので、その辺のところはよくわかりません。

田家:なるほどね。あまり聞かない方がっていうのはあるでしょうね。

瀬尾:作品を聞いてイメージしてくれればいいのに、説明することによってイメージがどんどん限定されていくわけじゃないですか? 彼女は元々曲の説明をしてない人なので。それはファンの方だけに向けてなくて、僕にも説明してくれない(笑)。あくまで彼女はデモまで録ったら、あなたは何を感じて作るの?って試験を受けてるみたいなものなので。下手に質問して「はあ?」とかって言われたら怖いんで質問しません(笑)。

田家:手紙、文にも「島より」としか書いてなかったわけですから、どこの島か聞いちゃいけないんですよね。みゆきさんと工藤さんの相性は瀬尾さんどうお考えなんですか?

瀬尾:工藤さんが中島さんを慕ってくれている、尊敬している感じはよくわかりますけど、とか中島さんも「工藤さんなら書くわ」って感じなので頼まれたら書きますね。

田家:例えば、声だとか歌の表情だとか自分と違うところに魅力を感じている?

瀬尾:それがあると思いますね。自分の歌を自分ではない表現の仕方、それはいろんな方が中島さんの歌を歌ってくれていますが、工藤さんが歌っているのが中島さんとしては新鮮に入ってくるんでしょうね。

Rolling Stone Japan 編集部

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