翔ばないカラス / 浅川マキ
田家:1973年のアルバム『裏窓』の中の曲で、作詞が真崎守さん、作曲が浅川マキさん。真崎守さんが作詞してたんですね。あの人の『共犯幻想』って漫画をみんなで読みましたね。
寺本:田家さんがハマりそうな漫画だよね(笑)。浅川マキが真崎さんに詞を頼んだら「おれが?」っていったんだけど、いい詞が来たのよっていうんで見せてもらったんですよ。
田家:マキさんが真崎守さんに。寺本さんがこの人っていうことでもなかった。
寺本:そんなことない。やっぱり真崎守の漫画っていうのもマキもぼくも結構ハマってたんだけど、やっぱり「不条理の世界」が見事に描かれてるよね。
田家:出口のない不条理が。
寺本:そうそう。いいメロディつけてるし、この演奏がすごいじゃないですか。
田家:フリージャズファンクみたいな感じですもんね。これはこのメンバー、このときじゃなかったらないんでしょうね。
寺本:『裏窓』のときは普通のアレンジだよね。これはこんなふうに歌って、アレンジとかミュージシャンによって、別の形の彩りを持つのかっていう。
田家:マキさんともガチンコな感じですよね。『1982年4月28日「スキャンダル」@京大西部講堂』の音源は、Pignose Recordsっていうところから1回出てるんですってね。
寺本:私家盤みたいな感じでね。京大西部講堂でやることを決めたのは、京都で浅川マキの全てのマネージメントというかプロデュースしてくれた久場正憲っていう男で、マキが死んで3年くらい経ったころ、マキもよくライブやった久場の店、音楽BAR「PIGNOSE」でマキのメモリアルアルバムって感じで、この音源を出したいという。
田家:「PIGNOSEと手紙」っていう曲もあるでしょ。
寺本:そういう意味では久場正憲のこだわりの1枚ってのがあったんですよ。それは限定版でお店で売るみたいなもんだから、といっても、東芝の許諾も得ていない違法盤。だけど、CD化した音源を聴いてみたら、凄い。柴田が録っている。だから、東芝に連絡せず眼をつむった。んで、こういう形で残ったんですよ。
田家:なるほどね。隠し録りもあれば私家版もあるという、いろんなストーリーのあるライブ盤であります。来週もそういう話を聞かせていただけたらと思います。