アングラの女王・浅川マキ、プロデューサー寺本幸司と辿る影と闇の世界



流れてるのはこの番組のテーマ竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

浅川マキさんには別名がありますね。アングラの女王。アンダーグラウンド=アングラですね。日の当たらない影の世界ですね。近代化というんでしょうか、文明の進歩というんでしょうか、科学技術の発達。闇とか影というものを消し去っていきますね。奪っていくと言ってもいいかもしれません。最近闇という言葉で耳にするが、闇バイトっていうような使われ方が多い。 危険な仕事が集まってるような、そういうサイトを闇サイトって言ったりしてるらしいんですが、文化的な闇ってやっぱあると思うんですね。美意識としてのアングラ。影が濃い世界の中に真実があるんだとか、光がなかなか当たらないところに実は美しいものが潜んでるんだとか、そういう考えがあった方がやっぱりあるんだと思うんです。

浅川マキさんの6枚組ボックスになった4つのライブっていうのは、そういう意味では一般的なコンサート会場ではないんですね。もちろんコンサートホールでもありませんし、通常のライブハウスでもない。そういうところをずっと辿ってきた、そういうところで歌ってきたのが彼女で、それがアングラの女王と呼ばれるようになった一つの根拠でもあるんだと思うんですね。そういう彼女が出たいと言ったときに、商業音楽はお断りっていうふうに言った京大西部講堂がすごいなと思いました。やっぱり京大西部講堂の当時の人たちにとっては浅川マキさんは光の世界、お金の世界に見えたのかもしれませんね。そういうところで行われたライブというのも、このボックスには入っております。来週も影と闇の世界をじっくりとお楽しみいただこうと思います。


左から寺本幸司、田家秀樹


<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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