甲田まひるが語る22歳の今を記した初アルバム、一番の手応えと理想

ー満を持してリリースされる1st Full Album『22』には13曲が収録されていますが、1曲目「Ignition」はオールドスクールなヒップホップな感じだったりしますし、自分のルーツだったり、好きなもの、表現したいものを散りばめたイメージなんでしょうか。

甲田:最初は、自己紹介的なラップがしたいなと思って。ドラムの(石若)駿さんとベースのマーティと3人で録ったんですけど、こうやって自分が皆さんと演奏するということも、自己紹介という意味では適した表現だなと。ポップスを作ると言っても、作ってる時はあまり意識していないので、自分がかっこいいと思うものを追求することを第一に、今回はブーンバップを2曲くらい入れてます。言ったら自分が一番好きなジャンルだからすごく嬉しいです。

ー本作にはアレンジャーさんも多くの方が参加されています。楽曲のアレンジの部分でもかなり勉強になった部分があるんじゃないですか?

甲田:その通りですね。自分が2年前に作った曲とかも入っているし、アルバムを作るぞ!となってからは「22」とか「ターゲット」「Ignition」あたりを書いて、「One More Time」「in the air」は1年半前ぐらいからあったかな。「Ame Ame Za Za」も今回書き下ろしました。他のUTAさんとかSUNNY BOYさんとの曲は、その場で一緒に書いたりしていて。それこそ自分がいろんな曲を作っちゃうので、曲の色がバラバラになるのが怖くて、全部特定の人と作った方がいいかなと思っていたんですけど、本当にいろんな人とご一緒できたので、楽しかったですね。プロデューサーさんは他の楽曲を知らないというか、ほぼ聴かせていないので、1曲入魂してくれるじゃないですか。他との並びを考えずに一緒に作るので、私が指揮をとらないとどうなっていっちゃうかわからない部分は、今回アルバムの中で1番考えていて。考えると言っても、セッションして帰ってきて聴いたら、今までの曲と並んでもおかしくない感じになったなみたいな感じで、調整をしながら書いてましたね。



―レコーディングの部分では、アレンジャーさんも参加されたりしたんですか?

甲田:一緒に作ってくれた人がボーカルディレクション来てくれたりとかもあったんですけど、ラップ曲――例えば「Ignition」は今回生音で録って私が1人で歌を入れただけなので誰もディレクションは入っていなくて。「One More Time」や7曲目の「Ame Ame Za Za」も1人でディレクションなしで録りました。ラップ曲は毎回プロデューサーさんはあまり来なくて、自分で全部ディレクションすることが多いです。「CHERRY PIE」もたまたまSUNNY BOYさんが来れなくて1人でやりました。今回のラップ曲に関しては、個人的にラップをよく録っている仲のいいエンジニアの方とかを呼んで、逆にそれがすごく楽しかったです。あとミックスがほとんどD.O.I.さんなんですけど、D.O.I.さんのスタジオに行くのが大好きで、そういう楽しみもありました。

ーD.O.I.さんはどういった方なんでしょう。

甲田:D.O.I.さんはミックス・エンジニア界の巨匠で、とにかく知識が深い方なんですけど、惜しみなく色々喋ってくれるんです。私はそうやって話してくれる人がめっちゃ好きで。しかも特に90年代の日本語ラップのサウンドはD.O.I.さん無しじゃ語れない、そんな存在なので、自分が大好きで聴いてるアルバムとかをその当時ミックスしてた人だと思うとウキウキで。

ーすごくいい意味で、甲田さんはドープな音楽ラバーだと思うんですけど、それをそのままアウトプットしないのには理由があるんでしょうか。

甲田:基本ラップが大好きなので、全曲トラップでラップするでも良いんです。けど今作りたいアルバムかと聞かれるとそれとこれは全然別というか。そこがちょっと難しいんですけど、曲を作るのが好きなんです。いわゆるビートがあって歌を乗せるというより、もうちょっと1曲としての幅を持たせたいというか。正直ビートを作る部分でいえば、自分の憧れてるすごい人たちがいっぱいいるので、頼むのが一番良いじゃないですか。自分で作るのは、いまのスタイルが楽しくて。1曲に対してずっと歌詞を考えたりするのがすごく楽しい。今回もトラップの曲を一曲入れてますけど、こういう曲を集めた作品もやりたいなと内心思ってます。

ー今後どこに重きを置いてやっていくかで、作品ごとに色合いも変わってきそうですね。

甲田:その都度やりたいことが違ったりするので、次に作るってなった時どう思っているかもわからないです(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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