続・J-POPの歴史「1990年と91年、バンドブームと怒涛の日本武道館公演ラッシュ」



1990年6月発売、3枚目のシングル、JITTERIN'JINN「にちようび」。初めてのシングルチャート1位ですね。この年の年間チャートが26位だった。作詞作曲のギターの破矢ジンタさん。ボーカル、春川玲子さん。かわいかったですね。奈良の大和郡山の出身でした。89年10月にシングル「エヴリデイ」でデビューして、90年3月に武道館を行った時点ではシングルが2枚、ミニアルバムとフルアルバムが1枚ずつしか出てなかったんですけど、もう武道館、即完でしたね。デビュー前にイカ天でキングになったんですね。バンドブームを象徴するような1組であり、象徴するような1曲じゃないでしょうか?



ユニコーン、90年7月に発売になったシングル「働く男」。作詞作曲は奥田民生さんですね。デビューしてから1枚目2枚目は民生さんの曲が中心だったんですけど、89年の『服部』からメンバーそれぞれの個性が発揮されて、みんなが曲を書くようになった。この「働く男」すごいですね。アバンギャルドポップロックっていう感じですが、80年代後半のバンドブームは、89年から90年のイカ天が一つのピークでした。さっきのJITTERIN'JINNはイカ天出身ですけど、そうじゃない流れもあったんですね。まずはその前から活動していたバンド。BOØWYとかレベッカとか、THE BOOM、ユニコーン、ジュンスカ。すでに80年代に脚光を浴びていた人たちと、90年代にそれぞれの個性が花開いた人たち。ユニコーンは80年代組の中では抜けてました。ちょうど「働く男」が出たとき、覚えてます? リゲイン。「24時間、戦えますか?」。企業戦士。あれが世の中を席巻してるときで、働く男をこんな風に歌った。これも彼らの時代のセンスでしょうね。

THE BOOMは自分たちのアイデンティティを探して、島唄に行くようになったわけですが、ユニコーンはこういうメンバーの個性を前面に出すバンドになりましたね。後にダラダラ系とか、脱力系とか言われるようになるわけですが、ナンセンスが面白いというクレージーキャッツに繋がるようなロックバンドでありました。そういう民生色が後半にプロデューサーとして発揮されるんで、それはこの後の話になりますね。80年代にそういうブームを作ったバンドが90年代に入って転機を迎えて、90年代半ばにシーンが変わっていくんですが、その話は再来週ぐらいですね。90年、この年を代表するバンドの曲をもう1曲。90年7月に発売になった、THE BLUE HEARTS「情熱の薔薇」。

Rolling Stone Japan 編集部

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