続・J-POPの歴史「1990年と91年、バンドブームと怒涛の日本武道館公演ラッシュ」

情熱の薔薇 / THE BLUE HEARTS

1990年7月発売、THE BLUE HEARTS「情熱の薔薇」。アルバムがこの年の9月に出た『BUST WASTE HIP』ですね。お聴きいただいたのはシングルバージョン。この「情熱の薔薇」は、彼らのキャリアで最初で最後のシングルチャート1位、そして年間チャートも7位だったんですね。この年の年間チャート1位は「おどるポンポコリン」でしたけども、3位にLINDBERGの「今すぐKiss Me」が入って、4位にたまの「さよなら人類」、そして5位にプリンセス プリンセスの「OH YEAH!」、9位がサザンオールスターズの「真夏の果実」。やっぱりバンドが多かった。年間チャートの21位にはXの「ENDLESS RAIN」も入ってた。そういう年ですね。

Xも90年、91年、92年と武道館をやりましたね。92年の武道館は、X単独ではなく、EXTASY SUMMITだったんですよ。YOSHIKIさんがやっていたレコード会社。出たのがTOKYO YANKEESとかZI:KILL、そしてGilles de Rais、LUNA SEA。そういうバンドブームの中に彗星のように登場したのがこの人たちです。89年結成、90年解散。あっという間に消えましたが、90年のアルバムのタイトル曲をお聞きいただきます。COMPLEXで「1990」。



1990年3月発売、COMPLEXの「1990」。アルバムは4月に出た『ROMANTIC 1990』。作詞が吉川晃司さんで、作曲が布袋寅泰さん。吉川さんは、このアルバムの作詞のために2週間東欧を旅したんだそうですね。ベルリンの壁がなくなって東欧が民主化に向かって、天安門事件の起こったという89年。彼は現場にいたんですね。でもそういう世の中の変わり方がロマンチックに見えたんでしょうね。僕らもそう見えてました。シングルもアルバムも2枚出して、彼らは活動休止しました。『ROMANTIC 1990』ツアーのファイナル7月25日の武道館、そして11月8日の東京ドームが活動休止最後のコンサートでした。



90年7月発売、エレファントカシマシ5枚目のシングル「男は行く」。アルバムが9月に出た4枚目の『生活』。7分の絶唱ですね。これを91年1月4日の武道館で歌った。手帳が出てきたんですよ。90年、91年。これが今月の構成に非常に役立ちましたね。91年1月2日、3日、プリンセス プリンセス。4日、エレファントカシマシって手帳に書いてあったんです。思い出しましたね。武道館、3000席っていうコンサートですよ。3000人でいいんだ、それ以上入ってくれなくてもいいんだ。当時の動員では、それ以上なかなか難しかったでしょうけど、照明もセットもなかったですね。彼らの渋谷公会堂もそうだった。ステージ裏、ホリゾント何もなくて、後ろも全部とっぱらいで見えてたコンサートだったんですが、武道館はそれに輪をかけてましたね。

この武道館の事をいろいろ調べてたら、スピッツの草野マサムネさんが客席にいて、最後の「男は行く」のときだけ、赤い照明が使われてたという話をしてたそうなんですね。いやあ、よく覚えてたなと思いました。私は毎日新聞にこのライブ評を書いたんですけど、原稿も残ってないし、当時の新聞はデータとして保存されてないんで、何を書いたか自分でもわかんないんです。でも史上最も痛快な武道館だったことは間違いないでしょうね。この「男は行く」。今はそんなに男女を強調しないっていうジェンダーフリーの時代ですからね。当時はこうやって男が行くんだ!って。これがヒロイックに見えたんですね。でも、とっても愛らしくも思いました。

この年、武道館公演をやったバンドの中には、今はどのくらいの人たちが覚えてるだろうってバンドもあります。UP-BEAT、KUSU KUSU、ECHOES、辻仁成さんは作家になりました。GO-BANG'S、BAKU。バンドブームの象徴のような人たちが武道館を賑わしてくれました。そんな人たちの中で代表的なバンド、91年1月発売、JUN SKY WALKER(S)の「START」。

Rolling Stone Japan 編集部

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