続・J-POPの歴史「1992年と93年、女性のラブソングとポップソングの全盛期」



流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

92年、93年、本当にいろんなことがあったなと思ってます。90年から91年にかけては、浜田省吾さんのツアーに同行していて東京にいなかったりして、その反動もあったんでしょうね、ライブを見まくっていた。それを手帳を見て改めて驚いたりもしております。

忘れてることもいろいろあって、92年の6月にモンゴルに行ったんです。ヤマハのバンドコンテストのモンゴル大会があったんですね。モンゴルは91年に民主化されて、ロックが解禁になったんです。それまでバンドは非合法だったんで、海賊版を聞いて曲をコピーして、楽器屋さんがないので折れたスティックをガムテで貼って使ってるっていう、そういうバンドが晴れて一堂に会したんですね。そういうバンドの人たち、音楽関係者と、満天の星空の人でバーベキューパーティーをやりました。そこでみんなで片言の英語で、ジョン・レノンの「イマジン」を歌ったんですね。東欧の民主化のときに評論家の立花隆さんが文藝春秋だったと思いますけど、「ビートルズがレーニンに勝った」と書いていたんです。とってもいい表現だなと思ったんですけど、モンゴルの星空のもとで「イマジン」をみんなで歌ったときに、こういうことか!と思ったりしました。ウラジオストックのレーニン像が倒されたばっかりでした。希望に満ちた90年代。個人的には、あの満天の星空がそういう希望を象徴しておりました。



<INFORMATION>


田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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