続・J-POPの歴史「一番売れた人たちが一番誠実に音楽を作ってた1998年と99年」



流れてるのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

もう一つ触れておきたいライブがあるんですね。ユーミンの『YUMING SPECTACLE SHANGRILA』。サーカスとシンクロナイズドスイミングとフィギュアスケートとコンサートが合体した。すごかったですね。コンサートでもないし、サーカスでもないし、ミュージカルでもない。上を見ると空中ブランコがあって、下を見るとプールがあってシンクロナイズドスイミングがあって、場面が変わると、そこにスケートリンクが登場して、フィギュアスケートが踊ってる。全部それが曲と一体になってる、世界中でこんなコンサートはどこにも出現したことがないだろうなっていう史上二度とないと思われる音楽空間。その後も何回かありましたけどね。夢のような時間というのはこういうことなんだと実感しました。子供の頃、サーカスで空中ブランコを見たことがあって、非日常のファンタジーというのを初めて体験したんですけど、それが今のコンピュータを使った音楽、しかもバンドのメンバーもいて、ユーミンの歌があって、こういう形で立体化されるとは夢にも思いませんでした。

ゲネプロでだったと思いますけど、彼女が「これで21世紀にいけます」と言ったんですね。99年、これも私事なんですが、『読むJ‐POP―1945‐1999私的全史 あの時を忘れない』という本を書いたんです。「服部良一から宇多田ヒカルまで」というサブタイトルで、そのあとがきに、ユーミンの「これで21世紀にいけます」を使わせていただきました。『SHANGRILA』の話は、音源が出てないんで映像だけなので本編ではご紹介できませんでしたが、最後に使わせていただきました。この番組もこれで21世紀に行けます。続きはまたいつか。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE