YOASOBIのAyaseが語る「NEX_FEST」への想い、ブリング・ミー・ザ・ホライズンの音楽的魅力

テーマはシリアスなのにメロディはポップだからこそ、怖さとか寂しさが際立つ

—Ayaseさんから見て、ブリング・ミーのメロディってどのへんが特徴的だと感じますか?

Ayase:暗そうな曲でも、メロディのラインは明るいものが多いなって思います。僕はメロディで言うと、「Follow You」が特に好きなんです。「Follow You」も厭世的でチルな雰囲気だけど、メロは明るいんですよね。ブリング・ミー・ザ・ホライズンのライブ映像で一番好きなのが、「Drown」をやったとき、むちゃくちゃいい顔をしたロン毛のお兄さんがブリング・ミー・ザ・ホライズンのTシャツを着て、最初の歌い出しで一緒に歌ってるのが映るところ。ああいう感覚というか、開放的でハッピーなのに、なんでこんなに切なくなっちゃうんだみたいな、そのギャップがいいなって思います。テーマはシリアスなのにメロディはポップだからこそ、怖さとか寂しさが際立つみたいな手法は、特徴的な気がします。





—なるほど。Rolling Stone Japanでオリヴァーに「DiE4u」で取材したとき、「歌詞がどれだけ絶望的であっても、寝るときに『I’d die for you』ってメロディを口ずさめば、もうまるで神様に向けて歌うアンセムみたいになるんだよ」って話していて。それって今Ayaseさんがおっしゃったことにも通じるなと思って。

Ayase:確かにブリング・ミー・ザ・ホライズンの曲からは祈りみたいなものをすごく感じます。何かを捧げてる感じは昔からありますね。

—サウンド的には、メタルコアやラウドミュージックをアップデートさせて、ポップ・ミュージックやエレクトロニック・ミュージックなど、いろんなフィールドにクロスオーバーさせてる。そういったスタンスについてはどう思いますか?

Ayase:柔軟ですよね。自分たちを評価してもらえるフィールドから一歩飛び出して、大きく変えていくのは勇気がいることだと思うんですけど、そこに対して、怖いと思ってる様を感じさせず突き進んでいる姿に、同じミュージシャンとしてすごくリスペクトしてますし、勇気をもらえます。

—僕は一人のリスナーとして、もともとハードコアやメタルコアやエモが好きなんですけど、そういった音楽をルーツに持つ彼らが、より多くの人に知られるようになっていく姿はシンプルにうれしいし、しかもカッコよく進化していってるところが最高だなと思って。

Ayase:結果的にラウドミュージックの入り口になってると思うし、「Medicine」もTVCMで使われていたりして。ラウドとかまったく聴かない人も「あ、これ知ってる。いい曲だよね」ってなってるのが、すごいなと思って。



—そうですよね。「Follow You」以外で、Ayaseさんが昔から好きな曲って他にありますか?

Ayase:「Throne」ですね。タイトルの通り、玉座(Throne)に座られた感があったというか。衝撃を受けました。他にも沢山あって、「Can You Feel My Heart」も好きだし、「Sleepwalking」「Antivist」も好きです。『Sempiternal』はレコードも買って部屋に飾ってるぐらい、自分にとっても大切な作品です。最近の「LosT」「Parasite Eve」もめちゃくちゃ聴きました。MVの映像もカッコいいし、オリヴァーは日本の文化をすごく好いてくれているのが伝わってきますよね。









ーあと「Happy Song」みたいにキャッチーなフックを効かせたポップな曲もありますよね。ちなみにAyaseさんがご自身の曲でポップさを表現する上で大切にしていることって何かありますか?

Ayase:曲を書く上では、メロディを大事にしていて。もともとキャッチーなメロディが好きで、でもただキャッチーなだけじゃなくて、何回も聴きたくなってしまうような中毒性だったり、一回聴いたら頭から離れないような、クセになるような曲であってほしいといつも思ってます。それをどうやって作れるかは、僕も知りたいですって話ではあるんですけど、作曲の話で言うと、手癖で書かないようにはしてます。あんまり考えずに作ると、どうしても似たようなメロディや構成になりがちなんですけど、そうならないように一度自問自答するし、通ったことのない道を選ぼうとはしてますね。それが結果的にみんなにとっても聴いたことがないサウンド感になって、刺激的だからもう一回聴きたいってなってくれていたら嬉しいなと思います。

—手癖って部分で言うと、編曲とかアレンジ、ミックスのアプローチも、決まったパターンに陥らないように意識してるんですか?

Ayase:はい。特にアレンジはめっちゃ考えますね。一回使った音は使わないようにしたいって気持ちがあります。スネアは絶対変えたいし、リヴァース、シンバル、クラッシュも毎回違うものを拾ってくるようにしてる。ミックスに関しては、やったことない試みもその段階でやってみます。歌とかは特にそうです。例えば「歌は、ikuraがいろんなところにいるようなバランスにしましょう」とか、同じボーカリスト、同じ作曲家が作ったものでも、聴いた感触が変わるだけで全然違うと思ってるので、その辺はかなりこだわってますね。

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