「障害」をめぐる考え方、多数派が少数派の文化や特性を尊重する大切さ

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こうした「障害」とされる事柄や人々に対して、「尊重すべきマイノリティの文化である」として捉える視点も重要です。もちろん現実的に社会の中でマイノリティにとって不具合は生じやすい面があるわけですから、それへの合理的な配慮は必要になりますので、「社会モデル」と「文化モデル」を両方意識して社会を変えていくことが大切になってくるのです。また、社会モデルに対しては他に、個々の障害者のインペアメントそのものからもたらされる「不安」や「痛み」等の主観的な経験を軽視しがちなのではないか、という批判もあります。つまり、何らかの障害が社会的な構造からもたらされるとしても、そうしたことから独立した、つらさや痛みのようなものが個々の当事者には存在し、それは軽視してはならない、ということです。これもとても重要なことだと思います。

人が生きづらさを感じるとき、それは基本的に社会の側に何らかの問題があります。その問題の解消を考えるときに、多数派が少数派の文化や特性をちゃんと尊重しているか、そして当事者の「痛み」についても意識が向いているか、ということが同時に必要になるのです。これらは、障害者のみならず、全ての人が「より良く生きる」ことにとって、とても大切なことだと思います。

参照:
英国ドレイク・ミュージックインタビュー「音楽とテクノロジーの力を使って、社会的バリアを取り外していく」BRITISH COUNCIL
『障害学の主張』石川准・倉本智明 明石書店



<書籍情報>



手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP:https://teshimamasahiko.com/

Rolling Stone Japan 編集部

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