THE ORAL CIGARETTESが語る「回帰」の真意

「次にやらないといけないのは下の世代を巻き込んでいくこと」(山中)

―ところで、あきらさんは今のオーラルの強さってどこにあると思いますか?

あきら なんでしょうね……。仲のよさ。

―人間面の話ですか。

あきら でも、最初から意識していたのはそういうところかもしれないですね。「上手いからあいつとバンドやりたい」という理由で組んだバンドではないし、仲のいい者同士で始めたバンドが今も仲よくやれてるっていうのは強いと思います。波乱万丈、とまではいかないですけどいろいろあったバンドだし、毎回チームで壁を乗り越えてきたことも自信に変わってますし、ピンチだったこともあとになって振り返ると「あれがあってよかった」と思えてるので、この状況も数年後にはきっと「あれがあってよかったよね」って強く思えると思います。

―90年代以降の日本のロックやパンクシーンを振り返ってみると、Hi-STANDARDがいたり、10-FEETがいたり、その時代ごとにいろんなバンドが旗振り役になってきましたけど、そろそろ皆さんの世代のバンドがその旗を手にするときが来ているんじゃないかと思っていて。でも、この時代にどうやってほかのバンドやお客さんを引っ張っていけばいいのか悩ましい。だからといって、止まっていればいるぶんだけシーンが衰退してしまう。そういう状況についてどう考えているのかお聞きしたいです。

山中 やっぱり、先輩から守られてきたものって芯が通ってると思うんですよね。ハイスタ、BRAHMAN、10-FEET。そして、俺らのすぐ上のSiM、coldrainとか。俺らの世代が次にどうやってバトンタッチしてもらえるかというと、まず第一に上からの信頼というか、「こいつらだったらバトンタッチしてもいいな」とか「仲間と一緒に若い世代を盛り上げてくれ」と思ってもらうことだと思うんですよ。だから、京都大作戦とか、DEAD POP FESTiVALとか、YON FESみたいなバンド主催のフェスには呼んでもらえるなら絶対に出て、そこで何かを残したい。コロナ禍での開催ということでいつも以上に大切なバンドしか呼べないところに自分たちが声をかけてもらえてるということ、こういう窮地でも俺らのことを必要としてくれてることで、俺らは先輩から「俺らがもっと旗を振っていけばいいんだ」という自信をもらってるし、そこにはシーンを作ってきた人たちとの信頼関係が確実にあって。

―うんうん。

山中 今年のNUMBER SHOTで「俺、しっかりこのシーンを継いでいくんで」っていうことを10-FEETのNAOKIさんに言ったんですけど、そういう話ってコロナ禍じゃないとできなかったと思うんですよね。

―たしかに。

山中 これまで旗を振ってきた人たちって俺らがデビューしたときの楽曲をちゃんと聴いてくれてたなと思って。TAKUMAさんも聴いてくれてたし、SiMも俺らがインディーズの頃に初めてつくったMVをいいねって言ってくれたし、シーンの先頭に立ってる先輩は下の世代のこともしっかり気にするし、自分もそこまで気を配れる人間でありたいと思います。じゃないとシーンを盛り上げる資格はないなって。次にやらないといけないのは下の世代を巻き込んでいくことだと思ってます。

―でも、上のバンドが丁寧にバトンを渡してくれるわけじゃないですからね。なんなら奪い取るか、自分たちで新しいバトンを作り直すかしないといけない。

山中 そうですね(笑)。

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