渡瀬マキが語る半生「歌うことを息をするぐらい普通のことにしたい」

―真面目なところは歌にも表れていたと思うんですけど、「BELIEVE IN LOVE」を改めて聴いたらすごくギリギリまで高い音を出している気がしました。いつも限界まで挑戦しようという感じで臨んでいたのでしょうか。

キーが本当に高いんですよ。でも、その頃LINDBERGを制作していたプロデューサーは、「それを一生懸命歌っているのが良いんだ」って言ってたんです。たぶん、時代もありますよね。スポ根というか、「気合入れたらできるやろ!」みたいな。でも、ツアーなんて30本ぐらいあるから、毎回必死で声を出してたら潰れちゃうし、そうならない方法を知らなかっただけで、あれはあれで成立していたからよかったんだなって今は思います。ただそれを今もやりますか?って訊かれたら、「NO」です(笑)。

LINDBERGの演奏陣は全員曲を書いていて、尚且つそれぞれに代表曲がありますね。作曲者によって歌詞とか歌い方って変わりますか?

いや、1つの曲として聴いて歌詞を書いているので、誰の曲だからこうなるとかいうのは、まったくないです。もっと言うと今でも「この曲誰が書いたんやろな?」っていう曲がいっぱいあります(笑)。全然知らないというか、そこに興味がないというか。リハーサルのときにいつも、「これ誰の曲やったっけ?」「はーい」「ええっそうだったの!?」っていう会話がよくあります。

―僕は小柳"cherry"昌法さん作曲の「花」という曲が好きなんですけども(1999年『LINDBERG XII』収録)。90年代後半になると、実験的な面白い曲がいっぱいありますね。

そうやって「実験的」とおっしゃっていただけるとすごく嬉しいです。LINDBERGって、そのときそのときに遊び心で楽しんでやっているんですよね。それを、「ここから変わってしまったから」みたいに言われることもあるんですけど、そのときやりたいいろんなことを取り入れて楽しんでるっていう感覚なんです。だから、いろんなことをやってます。

―10枚目のアルバムなんかも遊び心がある感じですよね。

「Monkey Girlの逆襲」が1曲目のアルバム『LINDBERG X』ですね。あのとき私は、「歌詞ってこうじゃなきゃいけない」とか、そういうことがなくなってパーンと弾けた頃だったんですよね。「どんなことでも歌詞になるんや」みたいなことがわかり始めてきた頃で、そのあたりからいろんな歌詞を書いて楽しんでます。



Rolling Stone Japan 編集部

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