横浜の"ロック"ステーションTVKが音楽シーンに残した功績、兼田達矢と語る

田家:「J-POP LEGEND FORUM 最新音楽本特集2022」今週は3週目。兼田達矢さんがお書きになった 『横浜の"ロック"ステーション TVKの挑戦』、ディスク・ユニオンから発売になっております。この本のご紹介、ゲストは兼田達矢さん。流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさん「静かな伝説」です。



音楽の歴史、特にフォークロック、J-POP系の歴史の中でテレビ局との相性はよくないんですね。関係があまりよろしくない。なんでかと言うと、テレビが偉そうだったということに尽きます。使ってやるとか、出してやるとか、売ってやるとか、そういう匂いがプンプンしておりまして、そういう姿勢でミュージシャン、アーティスト、レコード会社の人たち、僕らに対して接する人たちがいっぱいいた。70年代はその最たるものですね。レコード会社のスタッフが新しい見本盤を持っていくと、「こんなもの売れねえよ、事務所どこだよ、そのへん置いておけよ」という。中にはその場で割って、ゴミ箱に捨てるというような時代がありました。

シンガーソングライターがテレビに出ないようになったのは彼らが出なかったわけではなくて、相手にされなかったんです。あるときから態度が変わったこともみんな見てしまって、ああいう人とはもう付き合わないよというふうになっていたのがその歴史ですね。TVKがなぜこれだけアーティストと信頼関係を持てたかと言うと、これも簡単です。偉そうにしなかったから。一緒に作ろうとか、一緒に大きくなろうとテレビ局の方がそういう姿勢をちゃんと見せてくれた。誠意のある人たちが作っていた。そこにライブというのがあったんですね。ライブでみんなで音楽を共有しようよ、ライブがあるから僕らの音楽は活きるんだよねとか、ライブをファンの人たちに伝えていこう気持ちがTVKを支えてきたんだと、あらためてこの本を読んで思いました。テレビ局の時代はもう終わったかもしれません。インターネット、SNS、メディアの戦国時代が始まっております。ラジオが安泰とは言えません。でも、ライブを1番重要視するメディアが生き残るのではないのかなというのは予感でもあるし、希望でもあります。こういう話は来週の柴那典さんに伺おうと思います。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
https://cocolo.jp/service/homepage/index/1210

OFFICIAL WEBSITE : https://cocolo.jp/
OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765
OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO
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Rolling Stone Japan 編集部

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