小田和正特集、PAエンジニア・木村史郎とライブや作品の歴史を語る



田家:ここからは新作アルバム『early summer 2022』について伺っていこうと思うのですが、史郎さんが選ばれた5曲目は新作アルバムの中の「坂道を上って」です。この曲で思われたことは?

木村:青春からそのへんの記憶が蘇ってくるような感じがありますね(笑)。

田家:このアルバムは新作で8年振りなわけで、その間にツアーが5回あったわけですけど、ツアーも間が空いていて。さっきおっしゃった体に何かを染み込ませる、今回のツアーのリハーサルはそういう時間も必要だったんだろうなと思ったのですが。

木村:今まで何回もやってますけど、やり方としては一緒なんです。特に長くかかっているというわけではないんですね。早いうちに曲順も出しちゃって、それを手直ししながら何回も何回もやっていって、自分の体を慣らすパターンですね。

田家:暮れに「クリスマスの約束」があって、客席で見せてもらったのですが小田さんが久しぶりにステージに立っている感じがすごく伝わってきて、あれだけのキャリアがある人でもちょっとブランクが開くと、ステージ感みたいなもの。歌の勘みたいなものというのは変わってくるものがあるんだろうなと思ったりしたんですよ。

木村:人間が体を休めると動けなくなるのと一緒で、ライブするためにはライブの体になってくるというか。今4本終わりましたけど、だんだんそうなってきている気はします。

田家:なるほど、ツアーの体ね。このツアーでこの曲はどういうふうに扱われているんだろうなと思いながら、あまりそういうネタバレはお聞きしない方がいいかもしれないので。

木村:「坂道を上って」はやってないですよ(笑)。

田家:ははは! 言っちゃった(笑)。〈僕らは何もわかってなかった 僕らはみんな大人になっていった〉この僕らの中に史郎さんも入ってます?

木村:うん、入っているかも。大人になってどうなんだろうというのもありますけどね(笑)。

田家:1974年、初めてオフコースをご覧になって、1976年に初めてPAエンジニアとして参加されて。その頃のことはどんなふうに思い出すんですか?

木村:若かったから、当然ですけどみんな勢いがあったのはありますね。自分がこんなに長い間できるとは考えてもいなかったですけどね。

田家:一緒に坂道を上ってきた。

木村:師でもあり、同胞でもあるという感じですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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