大江千里が振り返る、昭和から平成へ移り変わる時期の楽曲への想い



田家:88年7月発売、7枚目のアルバム『1234』の中の「Rain」。これは89年のベストアルバム『Sloppy Joe』にも入っていたんですがシングルカットされていなかった。でも今年5月、34年ぶりにシングルになって。それで、このシングルコレクションに入ったんですよね。

大江:そうです。当時の松浦善博さんと箱根の温泉に行って、マランツのカセットに僕が作った曲を入れていって。最初の「Rain」の「言葉にできず」って始まったときにまっちゃんが泣き出して、「これは千ちゃん、ええ曲やで」って。それをすごく覚えていて。でもアルバムが出来上がったときに。やっぱりシングルは「GLORY DAYS」だろうってことになって。「それはわかるねんけど『Rain』がシングルになる時代が来たら音楽は変わる!」ってまっちゃんが力説しまして。

田家:情景の描き方がやっぱり千里さん上手いなっていう1曲でもあって。この曲は槇原敬之さんが2回カバーしている。槇原さん、こういう曲がやりたかったんだろうなって曲ですよ。

大江:ダリル・ホール&ジョン・オーツの「Wait For Me」のようなサビをやりたいなと思って。ホール&オーツにはとてもかなわないんだけど、「ずぶ濡れでも」とか「土砂降りでも」って鼻濁音がたくさん入っている。土砂降りのピチピチっていう音が聞こえてきそうな言葉を並べて、うまくサビを作ったんです。あとは2人が過去と現在を入り乱れながら、男が悔しさとか後悔とかも込めながらちょっと捨てゼリフを吐くって歌なんですけど。

田家:「泣きだしそうな空」と「肩が乾いたシャツ」と、ちゃんと時間の経過も織り込まれている。

大江:でも女性は、そういうの嫌いみたい。こういうことを言う男はいかがなもんか?って最近結構言われることがあります。

Rolling Stone Japan 編集部

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