吉田豪が翔とTAKUと語る、故・嵐ヨシユキの思い出と「横浜銀蝿」の軌跡

2001年の参院選について

―ちなみに嵐さんが01年に自由連合から出馬したときはどういう感想でした?

TAKU あれもさー、選挙のプロデューサーみたいなのがいるじゃない。「ちょっと応援演説やってくださいよ」みたいな話になって、渋谷のハチ公前とかでしゃべったんだけど、不思議な空間だったよね。あのときネットがあればもっと可能性あっただろうけど。嵐さんすごいね、出馬経験あるんだもんね。

翔 あの選挙に関しては、まあいろいろあるんですよ……。それに乗っかろうっていう嵐さんもいたし。詳しいことは置いといて、死ぬほど応援しました。参謀が全国を周る手配とかやってその段取りもして、それで全国くっついて行って宣伝して。銀蝿として嵐さんが立つことによって、もちろん受かってくれればいいなとは思ってたけど、それをやることによって銀蝿の見方が変わってくれるだろうとか、それもひとつのパフォーマンスで、受かったら受かったで何をやろうかとか真剣に考えてたし、落ちたら落ちたで「惨敗!」みたいな感じで、それはそれでいいんじゃないかと思ってたから。

―いいネタにもなるし。

翔 そうそう。だから俺は全面的に協力しましたよ。一番近しいし、メインボーカルでもあるからくっついて行ってちょっとしゃべったりしてもインパクト違うじゃないですか。俺の目に映る嵐さんは横浜銀蝿をなんとかしたいっていう発想が最初だったと思うんだよね、選挙にしても何にしても。だからやるなら100パーセント応援しようと思ってたし、そこで「仕事が欲しいの? 金が欲しいの?」って言われたら、お金の問題じゃない。兄貴がやるなら協力する。選挙も最初の頃は参謀が「翔さんに時間使ってもらってるからちゃんとあれしますよ」とか言ってたけど……まあそんな話ばっかりだから、それはそれで。

TAKU そうだよね、それも最初に言ってたよね。嵐さんが突然ライオンズクラブに入って、それもやりようによってはコネクションができるって始めたらあっという間に自由が丘の一番偉い人になっちゃったりしてさ。だから始めると上っていくよねっていうのはたしかにあった。

翔 それも、いろんな金の匂いがするところとか名前があるところに行っても、「ライオンズ渋いんだよねえ」って言うから、俺は「ああ」って聞いてるだけなんだけど。ライオンズクラブっていうのは慈善団体だから、平たく言うと街のためにみんなのためにやりましょう、予算繰りはするけど全部遣い切って、俺たちはもらわないみたいなことを俺に説明するわけよ。俺は「ああそうですか」と、そんなわけないでしょと思ってもそれは聞くの。最後のほうなんて中華料理屋で飯を食うのにライオンズの名前を使って予約したりとかそういうことしかしないで、会長もホントはならないほうがいいのもわかってて、あの人は結局会長になっちゃって、「俺は一番偉いんだ」みたいなことを言ってるんだけど、それも全部嵐さん節なのよ。ライオンズのことをやることによって、銀蝿がいろんなところで助けてもらえるってことで。

―いろんなコネクションを使えるから。

翔 俺はそう思ってる。だから俺に協力できることがあったらやりますよっていう感じだよね。でもきっとそうだと思うんだよね。いろいろやっていろんな思いをしてるだろうけど、根っこのところには銀蝿のためにっていうのは絶対あったと思うから。それはいろんなものに目をつぶってでもぜんぜんありなんじゃないの? っていうのが嵐さんに対する俺の見解だから。

―何をやっても順応するしおもしろがってた人ですよね。選挙のときも徳田虎雄について「あの人すげえぞ」とか言ってて。

翔 でも陰では「徳田虎雄使えねんだよ」って言ってるわけだからさ(笑)。「あのオヤジ金持ってるんだったら俺にもちょっと給料出したらいいんじゃねえか」ぐらいのことを裏では平気で言ってて。選挙の話なんかしたら俺いろいろネタありますよ。でも、それはそれで参議院選挙に出馬することがおもしろいチャレンジだと思うし。チャンスがあってそんな話になったなら乗っかろうっていう。

―昔、生徒会長になったようなノリでやってますよね。

翔 そうそうそう。それも含めて嵐さんだなと思うから。俺もラジオとかで文句言いましたよ、「嵐さんに呼ばれたのに全部ギャラなしって言われてさー」みたいな話は冗談でするけど、心の中ではそれはすべて銀蝿のためっていうのがあるから。


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