森山良子の歌手人生、すべてが歌になっていった55年の歴史と現在を本人とともに語る



田家:作詞が良子さんで作曲がBEGINですね。

森山:BEGINと出会ったのが野外のコンサートだったんですね。そこでいろいろなおしゃべりをしたりして、私が当時持っていたラジオ番組のイベントに来ていただくことにして。「あ、なんか1曲一緒に曲作ろうか」ってそんなこと言ったの生まれて初めてなんですけどね。彼らの雰囲気がすごくいい感じだったので、何か一緒にできたらいいなと思って声をかけて。それで「涙そうそう」って書かれたカセットが届いたんです。「涙そうそうってどういう意味?」って訊いたら、涙が溢れてポロポロ落ちる様子を言うということで、またここで兄が出てきちゃうんですけどもね。突然亡くなった兄のことが忘れられなくて、なぜなのかといういつもその想いが心の中から離れなくて押し殺していたんですね。「涙そうそう」、涙がポロポロっていうのが私が毎日彼を思って泣いているその心情にものすごくピタッと来ちゃったんです。それを聴いたら一気に詞を書くことができて、亡くなってから30年ぐらい経ってますから自分の中でも少し整理ができた言葉で書けたのかなと思って、いろいろな意味で素晴らしい出会いをいただいたなと思いました。

田家:アジアで一番聴かれている歌の中の1つですもんね。

森山:これもBEGINが歌っていて、私も歌っていて、夏川りみちゃんがどうしても歌いたいってBEGINに言ってくれなかったら、これはヒットしなかったんですよね。3年ぐらいBEGINも私も歌っていたわけですから。レコーディングもして。どういう人の声、どういう人に運ばれるかってことはものすごく意味があることなんだなってあらためて感じたことですね。

田家:これもイージーリスニングではないという1曲です。今日の3曲目、「あなたが好きで ~2004年シングルバージョン~」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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