SNARE COVERが語る「永遠」、喪失を経験して初めて分かるラブソング

─歌詞について、1番は親愛な人との幸せな描写が描かれていて。2番は亡くしてしまってからの話になりますけど、不思議なのが「なくして 初めて 気付く 永遠の形」と歌ってることなんですよね。もう亡くしているわけだから、永遠にはならない気がして。

人間ってつい永遠を求めてしまう生き物で。すごく愛してる人だったり、大切なものだったり、大切な時間を永遠にしたいと思う願望って誰しもどこかにあって。それを掴もうとすればするほど掴めないものなので、必ずいつかはいろんな意味での別れが来るじゃないですか。永遠はいくら追い求めても、一生手に入らないものというか。なくしてしまって初めて、永遠っていうものが見えてくるっていう。でも、それって希望の歌なのかなと思う部分もあって。自分なりの希望と解釈するための、答え合わせ的な歌なんですよね。

─あと、僕は「Wedding Bell」を聴いて、斎藤さんが7月にnoteに書いた「愛してる」の記事を思い出したんですよね。記事で保護猫の“すりすり”、保護犬の“すだこ”が亡くなってしまった報告と、「子供達への向き合い方が変化しつつあるのを感じます。『どうやって生かしてあげられるか』と同じくらい大切なのは、『どうやって逝かせてあげられるか』だなって」という一文がすごく重なった。「Wedding Bell」もいわゆるラブソングと割り切ったものではなくて、ご自身のことがドキュメントとしてあるんだろうなって。

そういう書き方がしっくりくる、嘘なく書けるラブソングというか。自分が書けるラブソングですよね。


─noteの記事が楽曲とリンクしていると感じたのはもちろんあるんですけど、SNARE COVERの音楽っていうのが、メジャー行く前も言った後もやっぱりこう命のことを歌っているなって改めて思ったんですよね。

そこは一貫していますね。表現が抽象的か、いかに伝わりやすい表現なのかってところ、ただ真髄は確かに繋がってると思います。

─これがメジャー2作目ですけど、極端なことを言えばラストソングにも思えるぐらいの気概を感じたんですよね。

あぁ、そうですよね。もう毎回毎回、この曲がベストみたいな感覚で書いていて。僕は器用じゃないので、この曲はこういう部分を歌う、こっちの曲はこういう感じで歌うからって、たくさん引き出しがあってそれをまとめらるわけじゃなくて。結局、1曲に自分の全てを込めている感覚があるんです。何より、「Wedding Bell」のような曲はたくさん書けるものじゃなくて。この曲よりもさらに深いことを歌う、みたいな曲は難しいかなと思っています。

─「Wedding Bell」は命のラブソングだから、どこを曲の落とし所にするかもそうだし、この曲に向き合う作業は相当いろんなものを削るというか増やすというか。精神的にもすごい作業だったんじゃないかなって。

とてつもない作業でした、特に歌詞ですね。メジャーになって「大変だなあ、しっかりやらないといけないな」って強く感じたのは歌詞で。メロディーとか楽曲に関しては、どんどん出来ていってネタが尽きないぐらい。精神的にも曲を書きたい気持ちは消えないし、いくらでも表現できるほどなんです。今、楽曲自体は豊富にあるんですけど、問題はそこにはまる歌詞なんですね。チームで最も大事にしてるのが歌詞で、今そういうフェーズに来てるなって。今までは楽曲さえできれば何でもよかった。自分の伝えたい部分さえ入っていれば大丈夫、という感覚でしたけど、メジャーで歌詞を書くってすごい作業だなと痛感している最中ですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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