史上最高のギタリスト250選

50位 エルモア・ジェイムス / Elmore James

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ミシシッピー出身のシンガー&ギタリスト。エルモア・ジェイムスといえば、ロバート・ジョンソンの「I Believe I’ll Dust My Broom」のカバー曲(1951年)で聴けるスタッカートのリズムと、スライドギターを組み合わせたギターリフが有名だ。「最高のリックだった」と、同じくスライドギターの名手であるデレク・トラックスは言う。「アコースティック・ギターにエレクトリックのピックアップを付けて弾く彼のギターには、何か爆発的なものを感じる。彼の歌声も、ピックアップを通じて聴こえてくる気がする」という。「Shake Your Moneymaker」や「Stranger Blues」にフィーチャーされたジェイムズ特有のギターリックのバリエーションは、1963年に彼がこの世を去った後に訪れたブルーズ・ブームのスタンダードになった。ジェイムズのギターは、何世代にも渡り多くのギタリストたちに影響を与え続けている。「エルモア・ジェイムズのようなサウンドに近づきたいと思って、1日12時間、毎日指先から血がにじむまで練習した」とロビー・ロバートソンは証言する。「そんな俺を見かねた誰かに言われたよ。ジェイムズは実はスライドバーを使って弾いているんだぜってね」。




49位 PJハーヴェイ / PJ Harvey

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「16歳か17歳で初めてギターに触れた頃を、よく思い返すの」と、ポーリー・ジーン・ハーヴェイはザ・ニューヨーカー誌のインタビュー(2023年7月)で語っている。「それ以前は、たくさんの言葉を書き連ねていた。私の書いた言葉と音楽を融合できるんだと知った時は、まるで目の前の扉が開くような喜びを感じたのを覚えている」と彼女は言う。創造することのスリル感は、PJハーヴェイが時代を変えた初期のアルバム『Dry』や『Rid of Me』に顕著に現れている。当時の彼女のギターはジャギーで荒削りだったが、30年が経ち、より洗練されてきた。とはいえ、感情をむき出しにした挑戦的なギターサウンドは健在だ。「以前やったことの繰り返しには興味がない」と彼女は言う。「一度も耳にしたことのないサウンドを発見することにワクワクするの」




48位 カーティス・メイフィールド / Curtis Mayfield

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今は亡きカーティス・メイフィールドは、アメリカン・ソウル界で最高のシンガーソングライター兼プロデューサーだった。またギタリストとしても、メイフィールドのなめらかで優雅なメロディーとギターフィルは、隠れたファンも多い。例えばジミ・ヘンドリックスのサイケデリックなバラードには、ジ・インプレッションズの「Gypsy Woman」からの大きな影響を感じる。「60年代のギタリストは誰もが、カーティスのようなギタースタイルに憧れた」とジョージ・クリントンは断言する。70年代に入ってソロ活動を始めたメイフィールドは、ギタースタイルも進化を続けた。映画『スーパーフライ』のサウンドトラックやヒット曲「Move on Up」は、ファンクのリズムに乗せてリードパートにワウワウも駆使したノリの良い音楽だ。彼の流れるようなコード進行は、他のミュージシャンには真似できない。理由のひとつは、メイフィールドがF#のオープンチューニングを多用したことにある。「自己流だし、スタイルを変えることはできない」とメイフィールドは語った。「俺の自慢になるが、どんなに上手なギタリストに俺のギターを持たせても、誰もまともに弾けないのさ」。





47位 ジ・エッジ / The Edge

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70年代にティーンエイジャーだったジ・エッジは、パンク、ニューウェイヴ、ファンク、ブルーズ、R&Bなど、あらゆるジャンルの音楽からギターを学んだ。U2の初期の作品には、彼が影響を受けてきたあらゆる要素が融合されている。彼はディレイ、エコー、リヴァーブなどのエフェクターを駆使して、ユニークなサウンドを生み出した。ジ・エッジは「理論に基づいてプレイしたり作ったりする人間ではない」と、かつてローリングストーン誌のインタビュー(2016年)で語っている。「自分で音を出して試行錯誤しながら作っていくタイプだ。偶然に魅力的なサウンドが生まれる瞬間が好きなのさ。俺は音から多くのインスピレーションを得ている。サウンドが良ければ、ギタープレイヤーとしてもより良くなれると思う」と彼は言う。『The Joshua Tree』までに独自のサウンドを確立したジ・エッジだが、90年代に入ると、ヘヴィなクラウトロックやクラブ音楽の要素も採り入れるようになった。「コードを弾いただけで誰だかわかるギタリストは、珍しい」とジョー・ボナマッサは言う。「彼の場合は、コードをひとつ鳴らしただけで、ジ・エッジだと分かる」。




46位 フランク・ザッパ / Frank Zappa

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「ギターを弾き始めた頃にのめり込んだアルバムだ」と、フィッシュのトレイ・アナスタシオが2005年に挙げたのが、フランク・ザッパの難解でヘヴィなアルバム『Shut Up ‘n’ Play Yer Guitar』だった。「ギターの持つあらゆる限界を、他の誰もが思い付かないやり方で試したのが、フランク・ザッパだ」とアナスタシオは言う。ドゥーワップ、アーバン・ブルーズ、ビッグバンド・ジャズ、モダニズムなどを融合したザッパは、絶対的なボスとしてマザーズ・オブ・インヴェンションなど、そうそうたるメンバーが在籍した伝説のバンドを率いた。ギタリストとしてのザッパは、あらゆるジャンルの要素を採り入れながらのインプロヴィゼーションを、時には激しく、時には心から楽しんで演奏した。『Hot Rats』(1969年)収録の「Willie the Pimp」で聴かせたギターソロは、グリージーなディストーション・サウンドにワウワウを細かく使いこなした、熱情的なブルーズのスラロームだった。正に終わりのないスタジオ・パーティーだ。



Translated by Smokva Tokyo

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