史上最高のギタリスト250選

45位 スティーヴ・クロッパー / Steve Cropper

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スティーヴ・クロッパーについて、ピーター・バック(元R.E.M.)は「自分史上最高のギタリストだ。彼のホットなギターソロを挙げろと言われても難しいが、それでも彼のギタープレイはパーフェクトだ」と評した。クロッパーは、ロック/ソウル名曲の「隠し味」的な存在だと言える。ティーンエイジャーの頃に在籍したザ・マーキーズの「Last Night」が、彼のキャリアで最初のヒット曲になった。その後、60年代の大半をブッカー・T&ザ・MG'sのメンバーとして過ごした。同バンドはスタックス・レコーズの専属で、カーラ・トーマス、オーティス・レディング、ウィルソン・ピケットらのヒット曲に貢献した。以来、彼の無駄がなくソウルフルなギタープレイは、ブルース・ブラザーズ・バンドをはじめとする多くのロックやR&Bの作品で聴かれるようになる。サム&デイヴ「Soul Man」のギターイントロ、ブッカー・T「Green Onions」でのチョーキング、レディング「(Sittin’ on) The Dock of the Bay」における繊細なギターフィルなどは、どれもクロッパー特有のサウンドで、正にソウル・ギターの真髄だ。「ステージで目立とうなんて全く考えていない」とクロッパーは言う。「これまでも、そしてこれからも、私はバンドのいちメンバーなんだ」。





44位 ジョニー・ラモーン / Johnny Ramone

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パンクロック・ギターの父として、ギターリフを中心とした現代のヘヴィメタルに幅広い影響を与えたジョニー・ラモーンは、ギターの偉大なるアンチヒーローと言える。ジョニー・ラモーンことジョン・カミングズは、安価なモズライト・ギターをトレードマークとし、バレーコードを力強くダウンストロークするシンプルでクールなスタイルは「バズソー(電動のこぎり)」と呼ばれた。ギターソロはほとんど弾かなかったものの、ラモーンズのピュアなリズム・エンジンとして、迫り来る地下鉄のような勢いのあるギターを聴かせていた。「ヘヴィ」という言葉が「スロー」の同義語として語られていた時代もあった。しかし「Blitzkrieg Bop」や「Judy Is a Punk」、跳ねるようなグリッサンドが印象的な「Rockaway Beach」で披露した、荒削りだがメトロノームのように正確な彼のギターリフは、パワーを1ミリも損なうこと無くスピードアップできることを証明した(意外にもラモーンは、自身のギターヒーローとしてジミー・ペイジの名前を挙げている)。「ジョニーほど熱狂的なギタープレイは見たことが無い」とヘンリー・ロリンズは証言する。「“何てクールなんだ”と衝撃を受けた」。





43位 ジョニー・グリーンウッド&エド・オブライエン / Jonny Greenwood and Ed O’Brien

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レディオヘッドの楽曲「Creep」のコーラス直前に入るジャカ、ジャカという歪んだギターや、「Just」の高音のギターソロに見られるように、当初からジョニー・グリーンウッドは、ギターを使って他人がやらないようなことに挑戦していた。特に初期は、手首に医療用リストバンドを巻かねばならないほどアグレッシブに弾いていたが、やがてそんなギタースタイルにも飽きてしまった。「僕にとってギターはそう重要なものではない」と、1997年のギターマガジン誌のインタビューで語っている(同年にバンドは「Paranoid Android」をレコーディングしている。同じ人間が語った言葉とは思えない)。ネオクラシカルなコンポーザーへと成長したグリーンウッドだが、各アルバムには必ず1か所は爆発的なギターパートが挿入されている。レディオヘッドでグリーンウッドの横にいるエド・オブライエンは、ロックの世界でもっと高く評価されるべきギタリストだろう。彼がレディオヘッドのステージで奏でるギターは各楽曲に繊細なテクスチャーを加え、快活で前向きな性格でバンドを下支えしている。印象的なオブライエンのギターソロを挙げてみろと言われても、難しいかもしれない。しかし、彼のいないレディオヘッドなど想像できない。





42位 ヴァーノン・リード / Vernon Reid

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リヴィング・カラーは、1980年代に黒人ミュージシャンによるハードロックの代表格として君臨し、MTVでもスターになった。バンドと同じく注目すべきは、速弾きギタリストのヴァーノン・リードだ。彼はジャズ、フュージョン、ファンク出身のギタリストが、強烈なハードロックにも自身のバックグラウンドをフルに活かせることを証明してみせた。リードが頭角を現したのは、80年代初頭にアヴァンギャルドのドラマー、ロナルド・シャノン・ジャクソンのバンドに参加した時だった。そしてリヴィング・カラーの「Cult of Personality」における印象的なギターリフは、「Times Up」の幻想的なスピードメタルや「Funny Vibe」の狂気の速弾きなど、リードの弾くギターの多彩さの一部に過ぎない。ミック・ジャガーやジョン・ゾーンらから引く手あまただったのも納得がいく。リヴィング・カラーが直近にリリースしたアルバム『Shade』(2017年)でも、リードは多種多様なエフェクトやサウンドの引き出しを披露している。





41位 ボ・ディドリー / Bo Diddley

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「彼はギターリフの宝庫だ」とジョニー・マーは表現した。シカゴ生まれのディドリー、本名エラス・オタ・ベイツは「ボ・ディドリー・ビート」の生みの親でもある。「Mona」や「Bo Diddley」ではトレモロ・エフェクターを効果的に使い、奴隷によって伝えられた西アフリカのグルーヴをさらにパワーアップしている。ディドリーの生み出したギターリフは、バディ・ホリーやザ・ローリング・ストーンズ(1964年に「Mona」をカバー)らに受け継がれ、さらに荒削りのシンプルさが、ガレージロッカーやパンクロッカーらを魅了した。「ギターを持てば誰でも弾ける。ビートを刻み続けられれば、ボ・ディドリーになれる」と、ダン・オーバックは言う。「彼のスタイルは大きなインパクトがある」とキース・リチャーズは言う。「俺たちの愛したジャンルの音楽は、必ずしもミシシッピーで生まれたものだけではなかった。どこか別のところからも聴こえてきたのさ」。




Translated by Smokva Tokyo

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