川谷絵音が振り返る2020年の音楽シーン

川谷絵音(Photo by Yuuki Oohashi)


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―では、まずはグローバルのランキングから見て行こうと思います。


Photo by Helene Pambrun(Harry Stiles), ACMA2020/Getty Images for ACM (Taylor Swift)

川谷:そうですね……2020年はやたら「Dance Monkey」が流れてましたよね? あまりにも流れてるから、途中から嫌いになりそうでしたもん(笑)。あまりにも再生された曲って、ちょっとウワッてなっちゃいません? 「Dance Monkey」は今聴けない曲トップ10に入ってくるかも(笑)。



―トーンズ・アンド・アイの特徴的な声はいい意味で引っかかるけど、何度も聴いてると特徴あるがゆえに、ちょっと癖を感じちゃうのかもしれない。

川谷:サブスクって今までみたいにヒット曲がすぐ消えないで、長いスパンでヒットするから、ずっと同じ曲が年中流れるようになりましたよね。ザ・ウィークエンドの「Blinding Lights」も、「a-haみたいだなぁ」ってずっと思いながら聴いてました。良い曲ですけどね。でも、この曲みたいなアレンジで2020年同じようなヒット曲はなかったから、それだけ難しいってことで、これをちゃんとかっこよく聴かせて、ここまでヒットさせたザ・ウィークエンドはやっぱりすごいと思います。あと、ロディ・リッチの「The Box」はすごくよかった。あの声ネタみたいなのは一番最後に入れたらしいですけど、あれがなかったらここまで行ってなかったかもしれないですよね。結局ヒップホップ強しって感じはしました。日本とはかなり乖離がありますけどね。あとはドッタドッタドッタドッタっていうレゲエ風のリズム。




―レゲトンとか、ラテン系ですよね。「世界で最も再生されたアーティスト」1位のバッド・バニーみたいな。

川谷:あのリズムはあんまり日本人に馴染みないじゃないですか? 海外はあれと、カントリーもめっちゃ入ってきますよね。あとは同じようなトラックが多い。トラップによくあるハットのチッチッチッチッチッチみたいな。



―トラップも完全に型ができてますからね。

川谷:トラックは決まっているから、差を出すには歌詞だったり、その人の出生とか背景だったり、ヒップホップは特にそれが必要だったりするけど、日本はそういうのに馴染みがないし、日本にいると英語の歌詞ってあんまり調べないから、この歌詞がどういう意味なのかとか全然わからなくて。俺はオスカー・ジェロームがめっちゃ好きで、「Sun For Someone」って曲がノリがよくて特にいいんですよね。で、本人のインタビューを読んでみたら、「地球のために人間は滅亡するべきだ」っていう意味のことを言ってて(笑)。この曲もそういう曲らしいんですよ、「太陽が昇るのは人間のためじゃない」みたいな。最初は冗談かと思ったんですけど、インタビューの最後までそんな感じで、マジか……って(笑)。



―ギャップがすごい(笑)。

川谷:洋楽の「何でこれが流行ってるんだろう?」みたいなのって、歌詞がその国のことだったりして、日本に住んでるとその国のポリティカルな背景とかはあんまりわからなかったりするから、歌詞を調べて、それでもっと好きになることもあれば、そうじゃないこともある。日本の音楽はそういうのがあんまり関係ないから、そこは独特なのかなって。

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