川谷絵音が振り返る2020年の音楽シーン

川谷絵音(Photo by Yuuki Oohashi)


YOASOBIとボカロ文化、楽曲評価時代

―米津さんは「国内で最も再生されたアーティスト」の7位ですね。サブスクの解禁が8月だったことを考えれば、異例の上位とも言えますし、『STRAY SHEEP』の圧倒的なフィジカルセールスを考えると、低いとも言えるのかもしれない。

川谷:もっと行くのかなって思ったんですけどね。フィジカルが売れすぎたのもあるのかな? まあでもやっぱり、ヒゲダンが異常に強いですね。「I LOVE…」はドラマも当たったし、タイアップに恵まれたのもあるでしょうし。あとはYOASOBIですよね。「夜に駆ける」が1位じゃないんだって思いましたもん。スタートダッシュの違いですかね。バズり始めたのが4月くらいだったから。



―1位の「Pretender」は去年からずっとですからね。でも、YOASOBIとヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。(以下、ずとまよ)も含めて、ネット発のアーティストがよく聴かれました。

川谷:最初に言ったように、楽曲評価時代ってことですよね。YOASOBIは途中から表に出てきたけど、あとの二組は表に出ないじゃないですか? もともと米津もそうですけど、2020年はくじらくんとyamaとか、ボカロPとヴォーカリストの組み合わせがヒットしている。これもすべてボカロ文化の延長線上にあるから、ニコ動ってすごかったんだなって。初音ミクが出てきて、それが一旦終わったあと、生身の人間になって、みたいなフェイズですよね。






―細かく言うと、それこそ米津さんやヒトリエが人間として出てきて、今度はまた裏に引っ込んで、ミクではなくヴォーカリストを起用してるっていう。何段階もフェイズを経てきてるのかなと思います。

川谷:その中でも今が一番爆発してますよね。このブームはまだ続きそうですけど、YOASOBIの人気まで行く人はもういないだろうなあ。「夜に駆ける」が大ヒットし過ぎて次どうするんだろうと思ってたら、YOASOBIはその後がすごくて。Ayaseくんわかってるなぁって思いました。いろんな曲を作ってるからメロディの構築レベルがすごく高いですよね、いわゆる職業作家の人たちはもういらないんじゃないかって思うくらい。やっぱりすごい人はちゃんと出てくるんですよ。あとYOASOBIは小説から音楽を作り出していますけど、そういうコンセプトもコロナ禍の時代に合ってたなって。コンセプトって基本的に伝わりづらいじゃないですか? コンセプトを打ち出してもそんなにネットで調べられたりしないけど、今はみんな家にいるから動画とかを見る時間が増えて、そこから濃くファンになるっていうか。通勤・通学中に音楽を聴く時間は減ったかもしれないけど、家でYouTubeを見る時間は増えたと思うんですよね。だから、映像映えするアニメのMVの人とかは、2020年軒並み伸びたんじゃないかなって。

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