甲斐バンドの歴史と闘争、1983年から1986年までを振り返る

ブライトン・ロック [Live] / 甲斐バンド

続いて、『GOLD/黄金』が出た翌月の8月7日に新宿新都心・都有五号地のゾーンと呼ばれていたエリアで行われたのが、野外イベント「THE BIG GIG」でした。お客さんは2万1千人、東京の都心で行われた最初の大規模な野外イベントですね。その1曲目、ニューヨーク三部作1枚目の『虜-TORIKO-』の中の「ブライトン・ロック」。アルバムは『THE BIG GIG』からお聞きいただいております。

新宿新都心・都有五号地は、今の都庁がある位置です。当時はもちろん都庁なんかできていなくて、住友参画ビルと京王プラザくらいしかなかったんです。あの一角は、周囲に陸橋のように歩道がずっと通っていて、ちょっと下がったところに地面があったんです。周りの歩道からステージが見えるんです。お客さんは2万人くらいいましたが、その陸橋にはチケットを買っていない人がたくさんすずなりになって様子を見ていたんです。都心ど真ん中ならではの野外イベントの光景が繰り広げられました。そういうイベントの1曲目がこれですよ。「マシンガンの銃弾が飛び交う街」、「俺の導火線に火が点いてバチバチ弾けてる」と歌っているわけです。こういう登場でした。戦闘開始、肉弾戦という始まりです。甲斐バンドは『英雄と悪漢』、『ガラスの動物園』で、東京との肉弾戦、どう立ち向かうかを歌にしていましたが、そういう彼らの東京都のドラマのストーリーの最終決戦がここだったんでしょうね。バチバチ火花を散らしておりました。

1982年、1983年はどういう時代だったかというと、松田聖子さん、中森明菜さん、近藤真彦さん、田原俊彦さんがチャートを席巻していて、アイドル新時代と言われておりました。この『THE BIG GIG』の都会ならではのイベントだったところが、住友ビルを借景にしたんです。あそこの壁に照明を当てて、それを演出効果にしたという意味では、新宿ど真ん中ならではのイベントでした。いまのバチバチ弾けていた「ブライトン・ロック」の次に歌われたのが、この歌だったんです。「ダイナマイトが150屯」。

Rolling Stone Japan 編集部

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