岡村靖幸、最新アルバム『操』までを当時のプロモーターとV4代表が語る

岡村靖幸





田家:流れているのはアルバム8曲目「Peach X’mas」。この曲を選ばれているのは?

福田:直接岡村くんには関わらない1人の男としての主張があって選びました(笑)。要は歌詞にも出てくるように12月になって、ソワソワする男子が今やいるのかな? という疑問もあったりして。今、秋から冬にかけてのイベントってハロウィンがかなりフィーチャーされていて、クリスマスが今の若者の中で最大のイベントじゃなくなっている思いがしてまして、60歳手前の男として。クリスマスにソワソワドキドキしていた感覚は、青春している人たち、青春したい人たちには持っていてほしいなというか。せっかくいろいろな環境が和らいで来ましたし、今年の12月はちょっとだけソワソワしてほしいなという(笑)。

田家:今の人向けにね(笑)。これはアルバムが発売された後にシングルになっているわけで、誰もがクリスマスソングを出したがった、このアーティストのクリスマスソングがあるといいよねみたいな雰囲気が蔓延していた時代ですもんね。

福田:そうですね。実を言うと、発売が延期になっているんですよ。12月に出たんですけど、パッケージ関連で言うと、当時近藤さんは本当によくご存知だと思うんですけど、CDパッケージを作るにあたって特別な仕様を争っているというか、何が1番すごいの? みたいなのがあった時代で。この初回仕様のパッケージって実は薄いダンボールを最終的にタコ糸で十字に結んでいるんです。このタコ糸結びというのが実は、7万枚ぐらいを何十人かの人たちが工場で一気にやるんですけど思いの外時間がかかって(笑)。


アルバム『禁じられた生きがい』ジャケット写真

田家:延期せざるをえなかった(笑)。パッケージということで言うと、『禁じられた生きがい』はジャケットがそれまでとは違いますもんね。色使いとかデザインとか。

福田:光が当たると色がちょっと変わってくる。特殊な印刷技術。

田家:『家庭教師』の時はご本人があまり取材を受けたくないのでやっておいてよということで、福田さんが代わりにメディアの対応をされた。『禁じられた生きがい』の時はどうだったんですか?

福田:あまり変わらないです(笑)。条件に合致したところは出るし、出られずに僕ができるところはやっていたという。

田家:「Peach X’mas」について、取材でどんな話をされたんですか?

福田:プロモーション的なところで思い出したのはNHKのクリスマス特番に彼が出ることになって、それがきっかけでこれを作った記憶があるんです。発売は1995年12月ですけど、その前にNHKのクリスマス特番があったんです。その時に彼がクリスマスの曲を歌いたいって言ったんですね。でも、彼は当然カバーもやらないし、彼の持ち曲でクリスマスっぽい曲はなかったはずで、これを作ったんですね。彼らしいというか、サービス精神というか、どうせやるならクリスマスだからクリスマスの曲やるよという。

田家:この『禁じられた生きがい』がEPICで最後のオリジナルアルバムになったわけで、あらためて福田さんの中でどんなアルバムですか?

福田:当時、アルバムを手にした時には若干の重みって言うんですかね。何かの重みみたいなものを感じた記憶がうっすらあるんですけど。

田家:『家庭教師』とは違うところがありますね。そういう青春感が違いますよね。

福田:重いというのは捉え方によってはネガティブになるんですけど、そうじゃなくて重みですよね。

田家:大人になったということなのかな。

福田:そういうアルバムなのかなって、つくづく感じた曲ではあるんですけど。今こうやって何曲か聴いてみて、重みはあるもののポップアルバムとしてはすごく優れている感じはあらためてしますね。

田家:近藤さんは頷いていますけども。

近藤:「Peach X’mas」は僕が東芝にいる頃に聴いて、衝撃的で。この曲は悔しかった。ポップソングとして完成形だと思ったし、本人も作家からデビューして自分でソロでという流れの中での1つの完結点だなと思ったし。この曲は東芝で出したかったと当時思った。

田家:いい話だなあ。クリスマスソングのスタンダードとしてこの曲は再評価されるべきですね。『禁じられた生きがい』から福田さんが選ばれた3曲目「Peach X’mas」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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