西岡恭蔵「病と闘いながら生み出した名曲の軌跡をたどる」

西岡恭蔵(photo by 北畠健三)



星降る夜には / KYOZO & BUN

田家:さっき中部さんがおっしゃったKYOZO & BUNは全国ツアーを回っていた。KUROさんは一緒についていけないときは、戻ってきて必ずBUNさんに「変わったことなかった? 大丈夫だった?」と確かめられている。そういう心身の不調を抱えながらの旅だったりしたわけでしょ?

中部:そうですね。このときはまだ身動きがとれなくなるようなことはなかったんですけど、KUROさんは常に見守っていますよね。ずっと見守って、ちょっとでも変なことがあれば、その対処を考えていたんだと思うんですね。

田家:そういう時期にも関わらず、この曲なんかも、幸せとか夢を歌っているんですよね。

中部:そう。本当に愛された人ですよね。恭蔵さんはものすごく愛された人なんだと思う、KUROさんに。それが痛いほど分かるので、具合が悪くなっていく自分を責めたりもするんですよね。こんなことじゃいけないんだと自分を責めたり、申し訳ないなという気持ちになっていって、不調の泥沼に精神的に落っこちてしまうところもあるんだけれども、必死にそれに堪えている時期じゃないかなと思います。後半はね。

田家:この『パラダイス・カフェ』の曲も、詞はKUROさんなんでしょ?

中部:そうなんです。KUROさんがほとんど詞を書いているんだけれど、恭蔵はそのこともちょっと申し訳ないなと思っていた節がある。

田家:なるほどね。で、これもこの本で知ったんですけど、恭蔵さんが詐欺師に騙されたと。

中部:ギタリストだったらしいんですけど、詐欺をした人が。

田家:500万円騙されたという。

中部:ギタリストとしては腕はいいとみんな言ってましたけど、詐欺を働いていて、後に捕まって有罪判決を受けちゃう人なんですけど、騙されて500万円盗られちゃう。

田家:恭蔵さんはそのことでも自分を責めたんじゃないかという。

中部:ええ、責めていたんですよね。しかも、その人に騙されてバンドやるってことになっちゃって、KYOZO & BUNを解散しちゃうんですよ。

田家:解散しちゃったんだ!

中部:しちゃったんです。だから、本当に精神の不調とか体の不調に付け込まれたとしか言いようがない。

田家:で、この時期にもう1人、登場人物がいまして、KYOZO & BUNのファンクラブ「パラダイス・カフェ」の会長さんMABO(マーボ)さんという、KUROさんの幼稚園のママ友。この方が会長さんとしていろいろな形で支えていた1人で、KUROさんがMABOさんに話した言葉が紹介されていて、「ピーカンで晴れていた家なのに、土砂降りの家になった」と。

中部:そう言っていたというふうにMABOさんはおっしゃっていましたね。MABOさんは最後の最後まで恭蔵さんの面倒を見る、あたたかい人ですね。

田家:そんな中で作られたアルバムです。1990年12月に発売になったKYOZO & BUN『トラベリン・バンド』からタイトル曲をお聴きいただきます。

Rolling Stone Japan 編集部

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