ミッキー吉野、70歳記念アルバムを本人とともに語る



田家:1978年10月に発売になったゴダイゴの3枚目のオリジナルアルバム『西遊記』の1曲目「The birth of the odyssey ~ Monkey Magic 」。去年の11月に出た、シン・ミックスからお聴きいただいております。このシン・ミックスすごいですね! 目からうろこです。

ミッキー:ちょうどマルチテープが見つかったのでデジタル化したんですけど、テープもイカれてなくて結構悪くないんですよね。ミックスと言うと足しちゃったり変えたりするけど、そうじゃなくて入っている音だけを1つのルールにしてシン・ミックスにしようと。今は時代が違うから、エフェクト関係もちゃんと使えるじゃないですか。昔は同じリバーヴを使っていたり、音がグチャッとしていたんですけど、今ははっきり聴こえるし、バックの音を上げても歌が聴こえてくる。

田家:ゴダイゴがどういうバンドなのか、一耳瞭然ですね。「あ、ロックバンドだ」って。

ミッキー:そうですね。基本はやっぱりエネルギー、ハイエナジーのロックバンドであって、しかもポップでアドバンスしていると。そういうのも作りたかったんですよね。

田家:ミッキーさんのキーボード、シンセサイザーは当時あまり使われたことのない使い方をしているんでしょう?

ミッキー:そうですね。この時代はまだシンセサイザーが最大で2音でしか出ない時代ですから。今みたいにポリパニックではなくて、モノファニックの時代でした。しかもアナログだから、ピッチがずれるんです。微調整が必要で、要するに弾いて入れられないから、全部数値で入力していくんですね。だから、1人ではとてもじゃないけどやってられなくて、ギターの浅野と2人で疲れると交代で1人が数値を読んで、1人がそれを打ち込んでいく。「The birth of the odyssey」は60秒のオープニングだったんですけど、入力するのに一晩かかったかな。

田家:『西遊記』の話は今週も来週も出てくるんですけど、テレビ番組が始まる前から『西遊記』をイメージした何かをやりたいことはミッキーさんの頭の中にあったとか。

ミッキー:アメリカにいる頃に日本のものと言うと、雅楽と単音のものが多いと想像していて。ハーモニーは雅楽にしかないし、日本の民謡にしても何にしても単音が基本じゃないですか。これを表現するのは非常に難しいなと。アジアを表現するときに僕の持った中国のイメージは総天然色で、しかもストーリーがあるなと思ったのが『西遊記』だったんですね。だから、音楽化はその頃からしたかったです。

田家:ゴダイゴの前からそのイメージがあったんですね。

ミッキー:そうですね。だから、1977年に『DEAD END』というアルバムを作ったんですけど、どれに行こうかというときに選んだのが「DEAD END」で、そうこうしているうちにこの企画が持ち上がったんです。

Rolling Stone Japan 編集部

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