ミッキー吉野、70歳記念アルバムを本人とともに語る



田家:これはかっこいいですねー。

ミッキー:実は、アルバムを作ろうと思ったときに最初はこの曲から入ったんです。閉塞感をぶち破るにはこのパワーが必要だなと思って、どうしてもやりたかったんですね。

田家:オリジナルは1977年のゴダイゴの2枚目のアルバム『DEAD END』のタイトル曲だった。ゴダイゴの1枚目のアルバム『新創世紀』はもともとタケカワユキヒデさんの2枚目のアルバムとして作っていたもので、ゴダイゴとして1からバンドでやったわけではない。この『DEAD END』はトミー・スナイダーさんも加わった5人での最初のアルバム。

ミッキー:そうですね。ゴダイゴの本当のオリジナルアルバムの最初って感じかなあ。

田家:『DEAD END』は当時も言葉としてわりと早めにあったんですか?

ミッキー:あの頃も違う意味で社会のプレッシャーがあって、閉塞感が漂っていた。そのときにさっき言った『西遊記』を選ぶか、社会派を選ぶか。このときは社会派だってことで『DEAD END』。

田家:今回のアルバムでラップを入れたいというのはミッキーさんがおっしゃったとか。

ミッキー:そうですね。やっぱり言葉って大事じゃないですか。この曲はゴダイゴで歌でやっているけれど、最初は完全なインストで行こうかと思ったんです。でもそれだけではメッセージとして何か足らないなと。ちょうど真ん中の「DEAD END」のパートをラップにしたらいいんじゃないかと思って。亀田さんに「誰かいいラッパーいないですかね」と話して、それで結局SUTUSさんがcampanellaさんを推薦してくれて決まりました。コロナ禍だったので、あなたの決断がすべて必要だという言葉をラップで表してくれないかと。

田家:それはおっしゃったんですね。

ミッキー:はい。そこを1番メインに言葉で表現してくれないかなというのをcampanellaさんに頼んだんですね。

田家:STUTSさんがミッキーさんのことを「日本の音楽にグルーヴを持ち込んだオリジネーターだ」と言われたみたいで。

ミッキー:ほんとですか。これはよく話すんですけど、僕がバンドを始めた頃はお客さんが踊れないバンドはクビになるんですよ。ゴーゴークラブとか、そういうところに出ていても。だからやっぱり踊らすというのは基本じゃないですか。それは人をのっけるってことだし、そこはもうグルーヴですよね。

田家:横浜はすごかったですもんね。

ミッキー:もうしょうがないですよね。

田家:これは亀田さんがおっしゃっていたんですけど、データの交換で作ったんですよね。

ミッキー:今回はほとんどというか全部ですけど、僕のパートは全部自宅録音ですね。データを交換して、入れて、返して、また誰かが入れたときにそれを聴いて、ちょっと自分が気に入らないところは全部弾き直したり、それを何回か各曲でやっています。

田家:本当に2021年の作り方で作った、そういうアルバムですね。そんなことを思いながら原曲をお聴きいただこうと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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