鈴木慶一自薦22曲で語るmoonriders、澤部渡や佐藤優介とともに46年の歴史を辿る



澤部:これすごく意外な選曲ですよね。

鈴木:毎回この番組の頭に「monorail」がかかっているので、その感じは既にここにあったかなあ。

田家:このアルバムは1人2曲の12曲入りアルバムで、休止が決まった後にお作りになった?

鈴木:うーん、作る前かな。このアルバムにおいて最大のコンセプトは活動休止なんです。みんなそういう曲を作ってきたということで。

澤部:「ラスト・ファンファーレ」とかね。

鈴木:突然活動休止って言ったわけでもないんですけど、非常に大きな地震があったり。ちょうど『火の玉ボーイ』から35周年なんですよ。再現するライブをやろうとしたら延期になってしまったり。小さな灯の玉フリーギグをやろうと、無料でみんなが集まってくださいとかやって。やっぱりすごく大きなことがあったと思うんです。覚えているのがメンバーから電話がかかってきて、「こんな光景を見たら、音楽ってやる意味があるのかな」そういう意見もあったんです。

田家:休止の発表が2011年11月11日で、そのときアルバムはほとんど出来上がっていたと。

鈴木:はい。もう休止を決めて、発表は11月11日11時11分にしようと。たまたま満月でした(笑)。

田家:そのときのこと覚えてらっしゃいます?

澤部:覚えています。やっぱり「あ、moonridersが止まるんだ!」ってすごいショックでしたよ。

鈴木:その止まるというニュースをいろいろなところへ事前に流したわけです。みんな口が止まりました。「え、ここまでやってきて!?」って。いろいろな方々がいて、疲れたんでしょうねとか。疲れたっていうのもありますけどね。大きな地震があって、音楽の持つ意味というのを自分で問い正した人が何人かいたんです。

田家:お2人は震災のときどう思われました?

澤部:僕らはまだその頃若かったですし、ましてや僕なんかより優介の方がもっぱら。

佐藤:やっぱりすごいショックでした。音楽の力ってなんだろうみたいな。

鈴木:たぶん時間が経ったときに音楽が世の中に漂えば、それは何かになるんでしょうね。そういうことが起きた瞬間というのは、また別のことを考えてしまいますから。

田家:オロオロして涙を流すしかなかったですもんね。

鈴木:そうですね。それといろいろアルバムを作って、アルバムごとにコンセプチュアルなことを考えてきたけど、結構出し切ったかなというのもあります。

澤部:究極ですもんね。活動休止がテーマになるというのは。

鈴木:そう。で、『Ciao!』だから(笑)。

田家:解散ではなくて、無期限休止にしたのは意味がある?

鈴木:このバンドを解散する意識はなかったです。ただ休んだ方がいいなと。体も含めて、考え方も含めて、だいぶバラけました。バラけたところで、一緒にやっていくのにはちょっと休んだ方がいいかなと。

田家:それから11年が経ちました。

鈴木:一緒にやろうってことですよ。

田家:慶一さんが選ばれた22曲目『It’s the moooonriders』から「S.A.D」。

Rolling Stone Japan 編集部

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