ハリウッドザコシショウが説く「単独ライブ哲学」、ハリウッド軍団公開討論

―シショウが、そこまで単独ライブを重要視するようになったきっかけはあるんですか?

シショウ:昔、吉本にいたとき、大阪の二丁目劇場の100人ぐらいのキャパで若手が単独ライブをやっていたんですよ。そこで成功したら一人前やなっていう風潮があって。千原兄弟とかも、そこで単独ライブを毎月か半年に1回ぐらいやっていたのかな。やっぱり、すごく突き詰めているんですよね。みんなが千原兄弟の単独ライブおもしろいおもしろいってなっていて、実際やっぱりおもしろいんですよね。そこを意識してずっとやっているから、僕にとっては単独ライブが高い格式のあるものになっていて。

小田:吉本だったら、簡単にやらせてもらえないですしね。若手芸人が単独ライブやります!ってやれるものでもないですしね。

シショウ:そうそう。お客さんも、単独ライブがおもしろかったら見方が変わるんですよね。芸人としてランクが上がるじゃないですけど。逆に、単独で失敗すると、お前らダメだな、まだまだだなって言われますね。お客さんやスタッフとかの人に。

渡辺:単独ライブやっている人かっこいいっすもんね。さまぁ~ずさんとか、バナナマンさんも未だにやっているし。もちろん、バイきんぐさんもやってますし。かっこいいですよね。

松本:単独ライブでネタを作っている人たちって、ネタ番組に出なくてもネタの匂いがしますもんね。さまぁ~ずさんってネタ番組に出ることないですけど、どこかネタの匂いって立ち振る舞いに出ていますし。

シショウ:僕は、ネタをやり続ける芸人でありたいと思っていて。単独ライブは、ほぼほぼ自分の思い描いたボケとかネタができるし、純度100%なネタをやれる場所でもあるから。


ハリウッドザコシショウ

―それって同時に、100%の自分が評価されるわけで、怖いものでもありますか?

シショウ:それはそうですよ。失敗したら次の年に関わるから。ある程度続けたら、こういうことをやればお客さんが喜ぶんだなってわかるので、そこに自分のやりたいことを上手くミックスして落とし込んでいくのが腕の見せ所っちゃ見せ所なんですけど。お前ら!な!単独ライブやってねえから、分からねえもんな。お客さんが何を求めているかって分からねえもんな。「有田ジェネレーション」で訳分からないネタをやって、有田さんに突っ込んでもらって、収録現場では笑いが強くなるかもしれないけど、いざ他のライブに出たらバカ滑ったわけやろ?

桐野:シショウ、僕のことはいいんですよ!

シショウ:あれ、おかしいなあ?って言っていたけど、それはおかしくないんですよ。当たり前なんです。

小田:「どの現場にも有田さんがいればなあ」って(笑)。

桐野:僕のことは大丈夫っす!毎年、シショウは単独の準備しているときもそうですし、終わった後も楽しかったって毎回言うじゃないですか。それって本当に、心の底からなんですか?

シショウ:もちろん、心の底からだよ。

桐野:今年はちょっとしんどいなあってときはないんですか?

シショウ:それはしんどいよ。収録の仕事が入っていて次の日も朝早く現場へ行かなあかん。単独のことも、日々の動画もやらなあかん。そんな状態でも、次の収録は滑れないし、スキを見つけて編集したり、家のこともやるし、子どもが遊んでって言ったら邪険にするわけにもいかないから遊んだりもして。いろいろなことをやりつつの、結局日々の積み重ねだからね。単独ライブで構成されていくものって。2~3ヶ月前から、順に順に立ち上がっていく。

桐野:日常の積み重ねっちゅうことですよね。

シショウ:そりゃそうよ。俺より才能がある人だったらいいけど、同じ才能だとしたら俺と同じくらいのことをやらないといけないし、俺より才能がない人だったら、俺と同じ量の努力じゃダメだと思いますわ。

桐野:耳が痛いっす、ただただ……。

シショウ:耳が痛い?尿道も痛い?

桐野:尿道は大丈夫っす。



松本:ここ最近の単独で失敗したなっていうのはあるんですか?

シショウ:あるある。

松本:あそこは、ああしておけばよかったなみたいなことですか?

シショウ:そういうのもあるし、リハーサルでサンプリング音がちゃんと出ていたのに、本番では上手くいかなかったのもあるよ。

松本:まあまあ、技術的なことってことですよね。

シショウ:あと、コンプラが厳しくなってきて、例えば本当にやべえネタはできなくなったよね。ライブだけの特権かなと思っていたんだけど、もう無理な感じになってきてるから。

渡辺:でもライブならいいんじゃないんですか?

シショウ:ダメダメ。テレビも配信も何も入ってないライブでも、危険なこと言うたら、それをメモってSNSで書くが人がいるやんか。そういうスパイがめちゃおるっていうこと!

松本:スパイが(笑)。

桐野:でも、シショウのライブをメモしたら、「尿道」とかでいっぱいになるわけですよね。

シショウ:そうなんやけど、SNSが盛んになってるから下手なことは言えないし、売れるとそうなるよね。売れないうちは別にそんなに気にしなくていいのかもしれないけど。

Rolling Stone Japan 編集部

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