大江千里が今だから語りたいマイ・ソング、デビューから87年までを本人と振り返る

POWER / 大江千里

田家:1987年12月に出た12inchシングル『POWER』。

大江:これは『OLYMPIC』を出して勢い余って作った12インチですね。

田家:5年間に色んなことがあったんだなって、この曲から感じますね。

大江:音楽という社会で戦ってきて、自分の名刺だと思って納得できないものは出したくない。だけど、自分はアーティストって言葉使って商業音楽の土俵にいるわけで、売れないものを作ってしまったら明日がない。そうなった時に妥協ではなく、どこに沸点を見出していくかみたいな戦い。自分の中で迷いと不安と自信とかがぐちゃぐちゃ煮立ちながら。そういう自分の内側を曲にぶち込んでましたね。だからストレート。だけどやっぱり落としどころとしては「君たちと一緒に時代を乗り越えていって良くなっていきたいんだ」っていう自分の中のメッセージみたいなものを込めていましたね。

田家:このDISCには13曲シングル曲が入っているわけですが、アルバムだと6枚分ですもんね。ものすごく凝縮されたDISC1ですね。今日選んで頂いたのは、このアルバムに入ってる曲順通りではないんですよね。

大江:話が若干進んだり戻ったりと聞きづらい部分があったかもしれませんけど、僕の中でいくつかの話がペアになって収納されていて。特に1枚目2枚目は大村憲司さん。3枚目からは清水信之さん。5枚目『AVEC』で大村雅朗さんに出会って。それぞれとの出会いによって僕が形成されていくわけなんです。1人でできなかったし、強力な音楽のプロ、スペシャリストと二人三脚することによって、ものすごく学んでいくんですね。大村雅朗さんに教わったことは本当に沢山あります。未だに大村さんが住んでたニューヨークのチャーチストリートを通ると、空に向かって「大村さん、僕今ここにいるんですよ」って語りかけます。

Rolling Stone Japan 編集部

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