大江千里は何と戦ってきたのか? ポップミュージックについて語る



田家:千里さんが選ばれた今日の1曲目、93年11月発売「maybe tomorrow 」。拓郎節といった感じの曲ですね。

大江:拓郎さんは個人的にも知っていまして。「日本をすくえ」というコンサートで共演した時に拓郎さんが僕の「サヴォタージュ」って曲のベースを弾いてくださったことがありました。もう本当に拓郎さんには詩の影響を受けてまして。「maybe tomorrow 」の詩を書いた時は、自分が「吉田千里」「大江拓郎」になっているみたいな感覚で作ってましたね。僕がEPICに顔を出した時にプロデューサーの人が僕を捕まえて「なんだよ、新曲丸々拓郎のパクリじゃないかよ」って言ってきて(笑)。それ聞いてみんなが「シーン…」僕も「シーン…」みたいな(笑)。それくらい今までと全く違う自分のルーツの一つの蓋を開けて、何か自分に新鮮な酸素を与えないと次が見えないっていう気持ちでしたね。当時ちょうどラウンジ的な音楽をアメリカでもジャネット・ジャクソンが、昔のテイクを使ってサンプリングしてやったりしてて。そういうカルチャーからも影響を受けて、自分の中の引き出しを開けて、自分のルーツミュージックをいっぱい引っ張り出してきて、アナログ盤に針を落とすような感覚で作り始めたのが『Giant Steps』なんですよ。

田家:まだ開けてなかった引き出しがあったんですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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