大江千里は何と戦ってきたのか? ポップミュージックについて語る

軍配はどっちにあがる / 大江千里

田家:今日最後の曲、93年7月発売「軍配はどっちにあがる」。

大江:これを横浜スタジアムでオープニングで歌ったんですけど、当時の僕は常に切り開くって意識があったから、前に前に行くんだっていう。でもこの曲は少しフィードバックされて後ろに行くような感覚がある。流されてるうちにまた自分の番がやってくるみたいな。大きな会場だけに「軍配は♪」って部分がヒットしないというか。オープンなんだけど全部ダウンビードで。斉藤ノヴさんがモータウンビートで「タッ、ツタッ、ツタッ、ツタッ」ってリズムで全部盛り上げてくれてるんだけど、ワラビーみたいにはいかないっていうか。

田家:「軍配はどっちにあがる」の解説のところに「曲調はポップで明るい。ただ僕自身の抱える「行き場を失った感」が歌詞の行間に込められすぎていて、今聞くと怖いぐらいだ」とあるんですが、これはどういうことだろうと思ったんですよ。

大江:今音楽的な言い方をしましたけどこの「タッ、ツタッ、ツタッ、ツタッ」ってところに。何ていうのかな…繰り返しなんだけどずっとBメロは続いてCメロが来ない感じとか。ちょっとC疲れっていうか、 Cを取りすぎてちょっとビタミンC取りすぎたなっていう。ちょっとB、B、Bって来てる時代ですからね。

田家:なるほどね、行き場を失った感ってのがあったってことなんですかね。

大江:大きいとこをやってると、だんだん予算管理とか。そういうところまで気を回して。何とか別の角度から面白くできないかっていうような発想で前に行くんだけど、世界は色々と変わって今はコロナでじゃあもうなしにしようっていう発想もありじゃないですか、常に畑を耕して、芽を育てて水をやって。でもその水の輸送に時間がかかってて。そんな印象を受けますね。

田家:なるほどね。「軍配はどっちにあがる」っていうのは、まだ自分で軍配を上げきってないわけですし、世の中からもまだどっちだって言われてないみたいな。

大江:「はっけよい!」って言われるんだけど、どっちなんだろうっていうような感じがありますね、

田家:どっちなんだっていう答えを出したのが、来週ということですね。来週もよろしくお願いします。

Rolling Stone Japan 編集部

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