ーそれこそ新曲の「モラトリアム」は曲中に登場する男女の状況だったり情景だったり、その場の空気の匂いだったりとか、ビジュアル的なものも含めてパッケージされている1曲だと思ってて。
蓮:最初にドラマ主題歌(「WOWOWオリジナルドラマ早朝始発の殺風景」)の書き下ろしのお話を頂いて、4人ともめっちゃ嬉しかったんですよ。とはいえ、曲を書き始めた時はものすごく悩んじゃって「……これは難しすぎるね」みたいな。それこそ題材が「モラトリアム」で、“モラトリアム=大人になるまでの猶予期間”という解釈で曲を書いていたんですけど、そもそも自分達は大人じゃないなと。
古都子:この曲を書いたの何歳?
蓮:19歳だよ。
内田:ちょうど「モラトリアム期」と言われる時期に書いた曲ではあるよね。
蓮:そうだね。それこそ書いて提出して何か違う、提出して何か違うっていうのを何回もやって、もうどうしていいのかわかんなくなって。でも、それがあったから自分の中でもっと詞を書きたいなと思えた。それこそ曲を書いてる時は、あまりにしんどくて全員のことが嫌いになった。でもそのしんどさは経験しといてよかったなと思う。逆にもう妥協できなくなったから。
―過去イチで産みの苦しみを味わった曲なんですね。
蓮:それだけ頑張って作ったから、今改めて聴いてみてもいい曲が書けたと思います。歌詞も若い人のラブソングって、年齢が上がれば上がるほど歌いづらくなるし、聴きづらくなるじゃないですか。若いから歌えるエモというか、今蔓延っているエモさを歌えるのは今だなと思うんです。
ーモラトリアムの渦中にいるタイミングで、「青い春の音」というフレーズを書いたのはすごく意味があると思うんですよ。このタイミングじゃないと一番説得力がないというか。例えば30歳でこの歌詞を書いたとしたら、それは“現在”じゃなくて“過去”の歌になる。逆に、高1だったら背伸びしてカッコつけたように感じられる。今このタイミングで「青い春の音」を書いたのは良いですよね。
蓮:最初に「青春の音」にしようかなと思った時に、ダサいと思ったんですよ。何か違うなと思って「青い春の音」が浮かんだ瞬間、これは良すぎるぞって(笑)。それこそ歌詞を提出した序盤から、わりとメンバーも「“青い春の音”というワードはめっちゃいいね」と言ってくれたから、絶対にこの言葉で締めようと考えていました。
内田:“青春”って言葉は、モラトリアムでいう大人と子供の間みたいな、大人までの期限っていう間を表すのには若すぎる気がする。
古都子:色が変わっちゃうよね。それこそモラトリアムは大人になるまでの猶予で、私のイメージの中では灰色とか深緑みたいな感じ。でも「青い春の音」は瑞々しい色が浮かぶ。
蓮:yutoriの代名詞にも使えるなと思って。
内田:わかる。青いとは言われるしね。
古都子:ちなみに「モラトリアム」を録った時、私は高校2年の17歳なんですよ。ちょうど、青い春なんだよね。
蓮:そういうメッセージも裏付けで届けられたらなと思います。