ミック・マーズが愛憎のバンド人生を語る、さらばモトリー・クルー 

ミック・マーズ(Photograph by Quyn Duong for Rolling Stone)

11月の来日公演が迫ったモトリー・クルーだが、オリジナル・メンバーでありギタリストのミック・マーズは来日しない(今回のツアーにはジョン5が参加)。マーズは現在、ほかのメンバーたちと法廷で争っているのだ。

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事の発端は、マーズがツアー活動からの引退を宣言したことだった。2022年の夏にポイズンとデフ・レパード、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツとのジョイント・ツアーを行ったあと、マーズは10月にツアー活動から身を引くと言った。モトリー・クルーのメンバーは、そこにつけ込んで自分をバンドから追い出そうとしている。それだけでなく、1981年の結成から42年にわたってバンドを支えてきた自分から、今後の利益を奪うつもりだ。そう考えたマーズは、訴訟を起こした。さらにマーズは、ツアー中にメンバーが当て振りをしたと暴露した。すると今度はバンド側が、曲の構成を覚えていない、きちんと演奏できない、という理由をつけて、当て振りをしたのはむしろマーズのほうだと応酬した。

「あいつらがハイになって、なにもかも滅茶苦茶にした時、俺がカバーしてやったんだ」とマーズは怒りをあらわにした。「それなのに、今度は俺のレガシーを奪おうとしている。モトリー・クルーのメンバーとしての取り分とバンド名の所有権、さらにはブランドそのものを俺から取り上げようとしているんだ。ケチャップで有名なハインツ社からミスター・ハインツを解雇できると思うか? そんなことは不可能だ。ハインツは彼の会社なんだから。フランク・シナトラやジミ・ヘンドリックスのレガシーだって永遠に生き続ける。だからこそ、遺族はその利益を享受できるんだ。あいつらは、それを俺から奪おうとしている。そんなことは絶対に許さない」

マーズの後任にジョン5を迎えたモトリー・クルーのワールドツアーのヨーロッパ・レグがはじまる数週間前、ベーシストのニッキー・シックスは怒りを爆発させた。この件に関しては、ほかのメンバーと同様に口を閉ざしてきたが、数カ月にわたる鬱憤が噴出したようだ。「いよいよ活動再開だって、みんながスタジオに集まっているのに、ミックは曲を忘れていた」とシックスは主張する。「ミックの心と体、記憶力が壊れていく様子を目の当たりにしたんだ。俺たちは、まるで壊れ物のようにミックを大切に扱った。いつでも手を貸すつもりだった。俺たちは、いつもミックの味方だった。でも、あんな状態のミックをステージに立たせてツアーを台無しにするわけにはいかなかった。それなのに、ミックはただ俺たちを傷つけるためだけにあんなことを言っている。そんなことをして、いったい何の意味があるんだ? ミックは、自分のレガシーを壊している」


LAメタル時代のメンバー。(左から)マーズ、ニッキー・シックス、ヴィンス・ニール、トミー・リー。RANDY BACHMAN/GETTY IMAGES

Translated by Shoko Natori

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