プリンスの長年のパートナーが語る『パープル・レイン』をめぐる狂騒、ワーナーとの確執

―ヒット・アンド・ラン・ツアー、そしてパレード・ツアーの直後に、彼はザ・レボリューションを解散させてファンを驚かせました。その背景にはどういう事情があったのでしょうか?

あの頃、彼はミュージシャンとして日毎に成長を遂げていたんだ。その背景にはウェンディ(・メルヴィン)、リサ(・コールマン)、そして私の弟(エリック・リーズ)との出会いがあった。彼らはそれぞれ、プリンスとはまったく異なる音楽的バックグラウンドを持っていたからね。私の弟はジャズに精通していたし、シーラはジャズとラテン音楽に造詣が深かった。プリンスと出会う前、彼女はハービー・ハンコックやジョージ・デュークのツアーに参加していたんだ。エリックは子供の頃からジャズに夢中だったよ。プリンスは彼らとの出会いを通じて、自身の音楽的バックグラウンドを広げていったんだ。当時の彼はすごく生き生きとしていたよ。

そういった新たなインスピレーションは、作曲、パフォーマンス、楽曲アレンジなど、彼の音楽のあらゆる面に大きな影響を及ぼした。結果として、彼はより多様なニーズに応えられるミュージシャンを必要とするようになっていったんだ。ザ・レボリューションのオリジナルメンバーたちは、お世辞にも経験豊富とは言えなかった。プリンスを除けば、めぼしいアーティストとの共演歴もほとんどなかった。新たなヴィジョンを具現化するために、プリンスはより優れたミュージシャンたちを必要としていたんだ。アーティストとして進化するための前向きな決断だったと私は思っているよ。プリンスだけでなく、バンドのメンバーや彼のファンにとってもね。

『パープル・レイン』の熱狂的なファンにとっては残念な出来事だったかもしれないが、新たなフェーズを迎えようとしていた当時のプリンスにとって、彼らでは役不足だったんだ。進化には変化がつきものだからね。夢を壊されたと感じたファンもいただろうけど、結局のところ、プリンスのファンと『パープル・レイン』のファンは、それぞれ求めることが違っていたということだよ。後者の中にはプリンスの他の作品をまったく知らないという人も多いはずさ。

Translation by Masaaki Yoshida

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