マイリー・サイラス激白「生死を分ける27歳」で気づいた本当の自分

大人になるっていうのは、過去の自分を受け入れるようになるってこと

ー「trumps」(勝る)という言葉の本来の意味が、最近は戻りつつありますね。

まさにぴったりの言葉よね、特にこのケースには。わたしはセクシュアリティのパワーだって信じてる。「陳腐なポップスター」って聞くと、誰もが裸同然のボディスーツを着たアイドルを思い浮かべる。それはポップカルチャーじゃないし、ポップでもない。ポップスターっていうのは、スーパーヒーローみたいなものなの。

わたしはドリー(・パートン)のキャラクターが大好きなの。音楽こそが真実だってことを体現しているから。ボウイもそう。鴨の羽色のスーツと厚底履姿のデヴィッド・ボウイはまるで宇宙人のようで、人はその美しさに魅了される。彼のような一般人とはかけ離れた存在が、ファンタジーと逃避主義を生み出すの。才能の使い方を間違えなければ、そういう人物はオーディエンスに夢を見させることができる。特に今みたいな時代にはね。

ーそういう「音楽以外の要素」こそが、楽曲を神格化させることもあります。ディズニー時代のあなたの作品にも、今も愛されている曲がありますよね。

だからこそ、わたしはジョーン(・ジェット)のようなアイドルを求めるの。わたしにとって、ザ・ランナウェイズはティーンバンドなの。10代の女の子の集まりでありながら、他の女性が誰もやらなことをやった彼女たちはものすごくラディカルだと思う。彼女たちはもっと評価されるべきだと思ってる。



わたしのセラピストはいつもこう言うの。「お姉さんはあなたにそんなこと言った?」って。自分自身に向けた馬鹿みたいな言葉を、大切な人に伝えたりする? わたしはしない。わたしはこれまで、ずっと過去の自分を否定してきた。『マイリー・サイラス・アンド・ハー・デッド・ペッツ』(2015年)の時には『バンガーズ』(2013年)をけなし、『バンガーズ』の時には『ハンナ・モンタナ』をディスった。「マリブ」(2017年)の時も『バンガーズ』を否定した。自分が成長するたびに、過去の自分のことを恥じるような感じだったの。大人になるっていうのは、過去の自分を受け入れるようになるってことだと思う。

ー「ミッドナイト・スカイ」を発表した時点で、アルバムは完成していたのですか?

してた。「ミッドナイト・スカイ」以外の曲のほとんどは既にできてたの。最初は「エンジェルズ・ライク・ユー」を1stシングルにするつもりだったけど気が変わって、スタジオに入ってもう1曲作ることにしたの。スティーヴィー(・ニックス)が「ミッドナイト・スカイ」を気に入ってくれて、これをシングルにすべきだって思った。あの曲には時代を超えた魅力があるって、太鼓判を押してもらったようなものだから。



あれはわたしにとって転換点だったと思う。禁酒を決意したのは、26歳になったばかりの頃にこう思ったからなの。「27歳になるまでにちゃんとしよう。27歳は生死を分ける境目のようなものだ」って。27歳でこの世を去ったレジェンドの仲間入りなんて、わたしはまっぴらごめんだった。26歳半ばには素面でいることが苦じゃなくなって、(2019年11月に)27歳になった時にはほぼ完全に酒を断ってた。でもパンデミックの最中に、多くの人と同じように、わたしはやらかした。精神的にものすごく追い詰められて、自分を見失った。でも今は持ち直して、ここ5週間は素面を保ってる。

Translated by Masaaki Yoshida

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