泉谷しげるデビュー50周年、エレックからフォーライフへの変遷を本人と振り返る

泉谷しげる



旅立て女房 / 泉谷しげる

田家:一人クレイジー・キャッツのようでもありますが(笑)。

泉谷:私のハチャメチャさがよく出てるかなという。おふざけも大好きなんで。

田家:「旅立て女房」とさっきの「家族」はテーマ的に繋がってるとは言えるわけですが(笑)。

泉谷:まあ、旅立てって言わなくたって、旅立っちゃってる女多いですけどね(笑)。

田家:「決定!ホンキー・ふりかけ・トンク」というタイトルもおもしろかった。

泉谷:ハチャメチャですよね。音楽の世界って二枚目になりがちじゃないですか。いやー照れくさいですよね。自分の中ではやっぱりぶっ壊したいというか、常に破壊がある。

田家:だからレジェントと呼ぶななんですね(笑)。アルバムの中に「巨人はゆりかごで眠るTO’80’S」という曲があって。72年の『地球はお祭り騒ぎ』の中に「巨人はゆりかごで眠る」という曲があります。

泉谷:あれはもっとコンピューター的というか、新しい方ね。詞の意味を押し付けるのではなく、リズムを押したかった。だから、おそらくこのアルバムは特にそうだけど、詞はひどいですよ(笑)。遊んじゃってますでしょ。人の願望や意味付けや、人生の苦味みたいなものを感じさせない真逆の世界。だけど、俺は例えばコロナで大変な時にこういう曲が必要なんじゃないかなって思うけどね。

田家:楽しいだろうって。

泉谷:だって、ここで「家族」歌われても、コロナの時に重くなっちゃうじゃん。

田家:阿蘇ではこれをやるかもしれないな(笑)。「決定!ホンキー・ふりかけ・トンク」が聴きたいなみたいな。

泉谷:そうそう、そういう方がいいじゃない? エンターテインメントの良いところっていうのは痛みを忘れさせてあげるものだと思うんだよね。


左から、泉谷しげる、田家秀樹

田家:巨人という言葉は「巨人はゆりかごで眠る」。泉谷さんのその後のペインティング、イラストレーションのイメージにかなり出てますよね。それはこの頃のイメージが絵の方に繋がっていくということですか?

泉谷:それもそうだし、ペインティングだけではなく、エンターテインメント自体が巨大化していくだろうなと。例えば、自分が襲われちゃうんじゃないかという恐怖感ですね。

田家:いろいろな意味の巨人があるんだ。

泉谷:自分たちは手作業でやってきたのに今やAIが全部やっちゃっているようなもので。でも、それは文句言って止められるかって言ったら、止められないと思うのよ。エンターテインメントは流行でもあるので、新しいものを生み出す。すぐ前のものなんて古くさせられちゃうものなのよ。必死になってこっちが対抗したって操作はできない。だから、自分だけは納得する普遍なものは作っておこうかなみたいな。自分だってiPadを買ってもらったらハマるしな(笑)。やっぱり、流行とか先端っておもしろいんだという部分でもあって、でも手作業には敵わないんで。いくらパソコンで使っても、手の感触は出ないんですよね。

田家:今も手で描き続けている。このアルバムの後に30歳になる。20代最後がこの『光石の巨人』でありました。来週は30代の話ですね。

泉谷:いやいや! まだ30歳なの!?

田家:来週もよろしくおねがいします。

泉谷:はい。

Rolling Stone Japan 編集部

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