西岡恭蔵「最愛の妻・KUROとの別れから晩年のアルバムをたどる」



田家:「J-POP LEGEND FORUM 西岡恭蔵」今年がソロデビュー50周年、西岡恭蔵さんの軌跡を小学館から発売になった『プカプカ 西岡恭蔵伝』の著者、ノンフィクション作家・中部博さんをゲストにたどり直してみようという5週間。今週はパート5、最終週をお送りしました。流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

今更こんなことを言うまでもないでしょうけど、音楽というのは時代に左右されているわけですね。もっと言ってしまうと、メディアの扱い方、リスナーの関心みたいなものは、やっぱり売れるものに向かっていくわけです。売れるものが優先されて紹介されていく。これは資本主義である限りしょうがないとは言えるんですけど、西岡恭蔵さんは全489曲書かれていました。自分で歌っているアルバム、カセットブックも十数枚あります。そして、他の人に書いた曲とか、もちろんザ・ディランⅡの曲もあるんですね。ただ、今回あらためて思ったのですが、手に入らない曲がとても多いんです。廃盤のままのアルバムとか、今では聴けない曲とか。サブスクの時代でありながら、これはどういうことなんだろうというのも、とても素朴な疑問、音楽の伝え方、扱い方に対しての疑問でありました。

恭蔵さんが関わった、作品を出してきたレコード会社はベルウッド・レコードとか、トリオとかビクターレコードとか、ミディレコード。ビクターはメジャーですけど、他の会社はメジャーというところには入らないようなレコード会社から出ているわけで、そういうところから出ている作品はサブスクの時代でもこういう扱いなんだなと思ったりしたんですね。だからこそ、中部さんが書いた本に意味があるんだろうとあらためて強く思いました。音楽について書いた本がいろいろ見直されていて、力作もたくさん発売されておりますが、本という存在が音楽を見直すきっかけになる。そういう意味では西岡恭蔵さん再発見のきっかけにこの本、そしてこの番組がなれば幸いだなと思って、5週間を締めくくろうと思います。


書籍『プカプカ 西岡恭蔵伝』表紙画像



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
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Rolling Stone Japan 編集部

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