米団体指導者、女性信奉者の尊厳を蹂躙 性的行為も【長文ルポ】

Photographs in illustration by Keilan McNeil



恋愛関係や性的関係を通じて人々を癒す

ローリングストーン誌が取材した人々は、少なくとも最初のうちはこうした厳しい文言をおかしいと思わなかった。逆に教義の一部だと受け止めた。日常生活のストレスや執着は壁に投影された映像に過ぎない、自己実現を探究する上では無視して忘れ去ることができるのだ、と。そうした教えの効果は微々たるものだったが、胸の奥に響いた、とフェルハイヘンさんは言う。「私にはある種のドラッグのようでした」と本人。「彼はよく『リアルなものは何もない』『これはすべてゲームだ』と言っていましたが、こうした言葉が積み重なると非常に厄介です。人生がまるでコンピューターゲームのように感じられてくる。そうすると『いい考えとは思えない』という直感を無視するようになるんです」

隠れ家に出入りする者やワークショップの参加者は秘密保持契約書への署名を求められた。ローリングストーン誌もそうした契約書のコピーを入手した。隠れ家への入場者や弟子に法的書類への署名を求める理由をマッサロに尋ねたところ、署名を義務付けたのは約5年前で、彼は身元を明かさなかったが、ある個人がチームに「潜入」したためだという。「秘密保持契約は日常茶飯事だ。どの企業、どの組織でも、スピリチュアル集団でも当たり前に行われている」と彼は言った。「お気づきだとは思うが、人はつかの間の名声を得るため、感情を正当化するため、あるいは抑圧された妬みを不誠実なやり方で吐き出すために、あらゆる理由をつけて私を非難する」

のちにセドナ実験と呼ばれる時期、マッサロはあからさまにコミュニティ内の女性たちと性的関係を持った。集団が大きくなるにつれて信奉者の恋人の数も増え、Instagramにはヘアエクステンションをつけたやせ細った女性と日替わりで映る写真を投稿した。彼の多重恋愛ぶりはソーシャルメディアのフォロワーの間では有名だったが、スピリチュアル集団ではかなり当たり前のことなので、おかしいと思う者はほとんどいなかった。確かにアレクトラさんも、マッサロの多重恋愛はフラグどころか抗いがたい魅力だった、と言っている。「これほど公然かつ正直に誰かを愛することができるなんて、私には魅力的でした」

グラハムさんもアレクトラさんも言っているが、マッサロは一部の選ばれた信奉者に対し、自分とのセックスは治療で、トラウマから解放する手段だと位置づけていた。仲間内でも公言し、グループメールでもこう書いている。「私が若い女性とつながる時、他の連中にとやかく言われる必要はない。奴らには見た目以上のことがわからないからだ」 さらに「自分は(女性と)ファックすることで解放している」と考えるべきだ、とも書いている。「彼は恋愛関係や性的関係を通じて人々を癒している、という持論を持っていました」とグラハムさん。マッサロ本人はセックスを「治療」と称したことは一度もなく、「偽りの口実で性的関係を供したこともない」と主張している。「だが確かに、親密な関係や性的交わりは、愛のエネルギーの中で行われれば癒しにもなりうると信じている」とも付け加えた。


ベンチーニョ・マッサロと元恋人のジャクリーヌ・グラハムさん(右) マッサロは「限界に挑むことでスリルを味わっていた」と彼女は考えている。(Courtesy of Jacqueline Graham)

グラハムさんはマッサロの教義を受け入れなかった恋人と別れた。その後マッサロがセッションの最中に近づいてきて、君は「男性すぎる」ために精神の可能性を十分に引き出せていない、と言ってきたという。

「彼はソファの上に横たわるよう言い、私の上にまたがりました。部屋には他の人もいました」と本人。「真っ先に頭に浮かんだのは、『ふん、私をその気にさせられるもんですか。その手には乗らないわよ』という思いでした。でもすぐにハッと気づいたんです、『そうか、これが私の男性エネルギーなんだ、こんな風にひれ伏したくないと思っているんだ』と」 。それからほどなく、2人は交際を始めた。

マッサロは、グラハムさんとの交際が師弟関係から発展したのではないと主張し、自分たちは「互いにつながり、惹かれ合い、ともに時間を過ごすようになった2人の人間に過ぎない」と言っている。また性的関係を強制する環境を作ったことも否定し(「まったくのでたらめ」)、「自分は世俗欲に駆られたことは一度もない」し、セックスに過剰な関心を寄せたこともない、と主張した。さらに「手の届く範囲に美しく魅力的な女性たちがいるにもかかわらず」何カ月も性的関係を持っていないとも言った。

Translated by Akiko Kato

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