moonridersの多面体と多様性、鈴木慶一の自薦曲で1984年から1996年を辿る



田家:ダイナマイトというのは?

鈴木:小林旭です。

田家:ダイナマイトが150トン。

鈴木:うーん、迷走しますね。クールガイはあまり使わないだろけど、この曲長くてね。すんごい長いシーンになってしまうと覚悟して作りました。

田家:詞が慶一さんで、曲が岡田さん。

鈴木:はい。で、この『A.O.R.』はADULT ORIENTED ROCKの略でもあるかもしれないけども、ARRANGED BY OKADA TORU AND RYOMEIなんですよ。この2人がアレンジを全てやろうという企画になりました。だから、オリジナルのデモとは全然違うコードになっていたり、かしぶちくんはスタジオで1回もドラムズを叩いてないんじゃないかな。

田家:さっきちょっとお話になった5年間でメンバーそれぞれ他のことをおやりになっていた。岡田さんと良明さんも違うことをおやりになった?

鈴木:そうですね。さっきから言ってますけど、勢いがある人。このときに勢いがある人、その2人に任せてみようじゃないかということですね。「ダイナマイトとクールガイ」のミックスのときに記憶にあるのは、今の天皇が観に来ましたね。殿下はビオラをお弾きになりますな。弦楽何十奏か分かりませんけども、ビオラを弾いているものの録音のミックスマスタリングを見学にいらした。私はいなかったんですけども、別のスタジオを見学したいということで入っていらっしゃいまして。エンジニアが気を利かせて、ボーカルをふっと上げたんですね、〈君のスカートの中に秋風が〉。そしたら、5分いる予定が1分で帰ってしまいましたねー。事後に聞きました。そういうことをすごい覚えてます。スタジオに行く時間が岡田くんと白井以外はすごく少ないです。私は歌を歌ってくれと言われたら行く。プロデューサーというものは本当にそういうものなので、任せたら従うよっていうことです。PANTAから教わりました。

田家:その歌を聴いて、すぐお帰りになってしまったという(笑)。視察とは言わないか、天覧でありました。『A.O.R.』の後に再び小休止。

鈴木:そうですね。ここでレコード会社との契約が切れる。そして、自分らで次のレコード会社を探しに6人でマネージャーも帯同しないで行くんです、いろいろな会社に。

田家:メンバーそれぞれが自分で?

鈴木:いや、6人がまとまって行くんです。そうすると、相手のレコード会社<の方>は驚きますよ。「あ、どうも」っていう感じで、アルバムを出したいんですけどという話を我々はマネージャーじゃないので、朴訥とした感じで話す。「じゃあ、おかえりください」って言われて帰ってくる。っていうことをやっていて、そこでファンハウスの方が「今度はマネージャーさんと一緒に来てください」って、で一緒に行って、ぜひやりましょうということになりました。

田家:なるほど。それが次のアルバムということになりますね。慶一さんが選ばれた14曲目、1995年12月に出たアルバム『ムーンライダーズの夜』から「帰還 ~ただいま~」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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