moonridersの多面体と多様性、鈴木慶一の自薦曲で1984年から1996年を辿る



moonridersを取り上げようということで、どういう形がいいのかなと思ったのですが、これは正直に申し上げて手に負えないなという感じが最初にありまして。同時代でずっと見てきたつもりではいたんですけど、やっぱりどこかで近づきにくいところがあったんでしょうかね。どこから取りついていいか分からないみたいな感じがあって、鈴木慶一さんに22曲をお願いしますとお伝えしたんです。さっき慶一さんが「こんなの初めてだよ」とおっしゃっていましたけども、それを受けていただいてこの企画が実現したということをあらためてお伝えしなければいけない。

この6人6様で多面性の全貌の大きさ。多面体と多様性。バンドでありながら、楽団のようであり、演劇的なカーニバル的な要素もあったりして、それがそれぞれの曲によって全部違ったりする。アルバムによっても毎回違う何かが見えてくる歌詞もポップミュージックでは使わないテーマがいっぱいある。使わない言葉がふんだんに織り込まれている。それが1番現れていたのが今週の時期かもしれないなと思いました。「夢を見よう」は大嫌いだと慶一さんがおっしゃってましたけども、夢を見る機械が欲しいと歌った曲がありながら、夢を消せる機械が欲しいというふうにも歌ったりしているわけで、光と影。ペシミズムとオプティミズム。いろいろな両面と言うんでしょうかね、万華鏡のようないろいろな光。人間というものはこういうものなんだという人生の本質を見せてくれるバンドなんだとあらためて思いながら今週も終わりたいと思います。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
https://cocolo.jp/service/homepage/index/1210

OFFICIAL WEBSITE : https://cocolo.jp/
OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765
OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO
radikoなら、パソコン・スマートフォンでFM COCOLOが無料でクリアに聴けます! 
cocolo.jp/i/radiko

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE