小田和正、最新作『early summer 2022』を評論家・小貫信昭と語る



田家:流れているのはアルバム1曲目の「風を待って」です。明治安田生命の企業CMで、テレビ朝日系のドラマ『遺留捜査』の主題歌ですね。まずは新作全体の感想をお聞きしていいですか?

小貫:アルバムを目指してコンセプトを立てて作ったものではないと思うので、アルバムの印象は、入っている9曲それぞれの印象という感じなのと。あと、アルバムタイトルも映画タイトルみたいな感じがあるじゃないですか。情感を込めてつけたというより、笑わせているぐらいのドライな感じみたいですよ。約半分は最近作った曲だと思うんですけど、なかなかコロナで活動ができない中、そのときどきの気持ちを切り取っている部分があるので、スナップ写真に日付が入る機能があるじゃないですか。そんな感じなのかなと。

田家:今回のアルバムは2014年の『小田日和』以来で、8年という時間は小田さんのキャリアの中で1番空いたんじゃないですか。

小貫:4曲入りが出ているじゃないですか。あのときにもう5曲作っていたらアルバムになっていたかもみたいな想像はみんなしますよね。真相は分からないんですけども。

田家:この間、前作のアルバムから今回までの間にツアーが5回あった。『本日、小田日和』のツアーが2014年、2015年。『秘密の町へ』が2016年、『アンコール』2018年、2019年。アンコールのツアーが終わったときにもうアルバムは出ないんじゃないかと思ったことはなかったですか?

小貫:『小田日和』のとき、たしか最後から2番目のアルバムになるかもしれないっておっしゃっていたんですけど、最後から2番目ということで今回が最後かなとも思うのですが、なるかもしれないですね。

田家:それはありますね。そういうアルバムの1曲目がこの曲ですね。小田さんにとって“風”というのはどういうものなんでしょう。

小貫:だいぶ前に聞いたので今は違うかもしれないんですけど、継続していくものの象徴としてという言葉を使っているようなことを。

田家:継続していくものの象徴ね。

小貫:この歌の場合はコロナと言うのもあれですけど、風も萎えてしまった状況からまた動き出すときの意味合いということで、先程の継続とも繋がる感じで使っていると思っているんですけども、たくさん出てきますよね。

田家:多いですよね。そういう意味でコロナの事態が収まって、それを待ってということもあってのアルバムの1曲目なんでしょうね。

小貫:本人は大々的にそういうことをおっしゃらないかもしれないんですけど、我々はそういう想いは感じますよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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