森山良子が語る、80年代半ばの名曲からミシェル・ルグランとの共演



田家:グラミー賞5回、アカデミー賞3回、フランス音楽界の神様ミシェル・ルグランと一緒にカーネギーホールで。

森山:ミシェル・ルグランの作る音楽がすごく好きで、この30周年の時に何がやりたいかって話になって、「あ、それじゃあミシェル・ルグランと一緒に何かをやりたい」って言ったんですね。ミシェル・ルグランの方にいかがでしょうかって言ったら、パリに来れるんだったらすぐおいでって言われたんです。それですぐパリに行って、それこそ「聖者の行進」とかああいう自分が歌っているちょっと大きい曲なんかをお聴かせしたら、「おもしろいね! やろうやろう!」って話になって、「こういうステージにしよう! ああいうステージにしよう!」って彼の中にもものすごく発想が湧いてきたらしくて、それはとってもうれしくて、1ヵ月くらいパリに行ってミュージシャンのみなさんとも毎日練習して、彼のお家でご飯を食べたり。初日がカーネギーホールだったんですね。

田家:日本で11回コンサートもツアーで行われて。一緒に歌っているのがミシェル・ルグランさんでしょ?

森山:そうです!

田家:この人歌うんだって思いました。

森山:そうなんです! 歌うのがすごく好きで、「俺も歌う!」ってすぐ歌ってくるんです(笑)。だから、この番組でも聴いていただいた「聖者の行進」も「これいいね! 俺もやる!」って(笑)。すごくおもしろがってくださいました。

田家:そういう意味では先週はニューヨークでしたけども、パリでルグランさんと一緒に歌われて夢が叶ったみたいな感じもあったんですか?

森山:そうですね。やっぱりミシェル・ルグランと何かを一緒にしたいという想いは叶いました。それと彼の音楽の志向みたいなのとすごく合っていたものですから、余計仲良くなって。彼が嫌いなものは私も「ちょっとね」って言うと、「だろう?」とか、そういう感じで。だからすごく気が合ったというか、自分ではすごく癇癪持ちでこんなに穏やかな人間じゃないんだぞ、本当はって。でも良子といると頭にくることがないから楽しいって言ってくださったりして、いろいろなお話をしました。

田家:いろいろなことがおありになって、やり尽くしたと思われたことはありますか?

森山:それはないですね。

田家:夢が叶って、やりたいこと全部やったなみたいな。

森山:いえ、ミシェルがパリに帰って、次の日から私は1人でコンサートに立つわけなんですけども、その空虚感がものすごく大きくて。これは1人で全部埋めていかなければいけないという、今度は自分自身に対する責任感というか。ミシェルが残した言葉も「良子、絶対にくだらない音楽をするんじゃないぞ。それが俺とやったことの次のステップだからな」って言葉を残していったんです。そのくだらないっていうのがどういうことを指すのかっていうのは、まあなんとなくは分かるんですけどもはっきりとは分からないですよね。

田家:それが来週ということになります。よろしくお願いします。

森山:よろしくお願いします。

Rolling Stone Japan 編集部

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